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予知連に提出した資料 / 霧島山新燃岳2011年噴火
火山噴火予知連絡会拡大幹事会 (2011年2月3日開催) において、産総研・地質調査総合センターは研究資料を提出いたしました。資料のPDFファイルを、下記のリンクからダウンロードできます。
注 : PDF ファイルをご覧になるためには、AcrobatReader 等の PDF 表示用ソフトが必要です。本資料の著作権は産業技術総合研究所に帰属します。
目次
- 2011年3月22日 第119回火山噴火予知連絡会
- 2011年2月15日 第118回火山噴火予知連絡会
- 2011年2月3日 噴火予知連絡会拡大幹事会
- 2011年 (定例会以外)
- 2010〜2008年 (定例会以外)
2011年3月22日 第119回火山噴火予知連絡会
第119回火山噴火予知連絡会 (2011年3月22日開催) において産総研地調が提出した資料
- 新燃岳2011年噴火における高温マグマ注入 : 2月と1月 (PDF, 88KB, 1頁)
- 元素拡散が速く短時間 (数年以内) のマグマプロセスを記録している磁鉄鉱の解析により、
1月26-27日噴火 (準プリニー式) では、直前 (およそ1日以内) にも高温マグマが注入していたこと、
2月の噴火 (ブルカノ式 ; 例 : 2/1, 2/14) では、直前の高温マグマ注入が認められないこと、が示された。 - 新燃岳噴煙組成 (速報) (PDF, 120KB, 1頁)
- 無人飛行機に搭載した Multi-GAS センサーによる噴煙組成観測を行なった結果、
SO2/H2S=10、H2O/SO2=1000-5000、CO2/SO2<10 であることが示された。 - 新燃岳2011年火口内溶岩湖の熱的検討 (PDF, 88KB, 1頁)
- 新燃岳の火口内溶岩に関して、熱伝導冷却モデルを用いて固化状態などを検討した結果、
1ヶ月程度では固化はほとんど進行せず、表面数メートルを除き内部は溶融状態であること、
中心部が固化するまでに十数年程度かかること、が示された。 - 2011年2月9日以降の火口の埋積過程 (PDF, 1.1MB, 2頁)
- 国土地理院撮影の2月9日と2月26日の写真を比べた結果、火口は顕著に埋積されていることがわかった。
埋積の理由が火砕物の堆積か火口内溶岩の増加によるものか判断するためには、
面的かつ詳細な地形データの所得が望まれる。 - マグマ中硫黄濃度と脱ガスマグマ量の推定 (PDF, 120KB, 1頁)
- 2011年噴出物 (かんらん石内メルト包有物、および安山岩質メルト) の分析にもとづきマグマ中硫黄濃度と脱ガスマグマ量を推定した結果、
安山岩マグマのバルクS濃度は 0.066-0.099wt.%であること、
1/27-3/16 の火山ガス (SO2) 放出量から算出された脱ガスマグマ量は4600〜3000万m3 (それぞれマフィックマグマのメルト S 濃度が0.131wt%〜0.2wt%の場合) であること、が示された。
2011年2月15日 第118回火山噴火予知連絡会
第118回火山噴火予知連絡会 (2011年2月15日開催) において産総研地調が提出した資料。
- 2011年1月26-28日噴出物の時系列 (PDF, 403KB, 1頁)
- 現地調査結果と噴煙エコー頂高度を対比することにより、2011年1月26-28日の噴出物がどの噴火イベントに対応するかを推定した。
- 1月28日以降のテフラ分布・体積 (PDF, 357KB, 1頁)
- 2月7‐9日にかけた地質調査結果をもとに、1月28日以降に降下した火山灰の等重量線図を描いた。その結果、1月28日以降に降下した火山灰の量は約 200 万トン以上と推定された。
- 新燃岳1月26〜27日及び2月1日噴出物の全岩組成 (PDF, 86KB, 1頁)
- 1月26-27日未明、27日午後の軽石噴火、及び 2月1日のブルカノ式噴火の噴出物の化学組成を分析した。その結果、いずれも SiO2=57% の安山岩を主体とし、顕著な時間変化は見られないことがわかった。
- 相平衡計算によるマグマ貯留条件の推定 (PDF, 180KB, 1頁)
- 2011年1月26∼27日噴出物の全岩組成、鉱物組成を元にMELTSプログラムによる相平衡計算を行なった。その結果、マグマは深さ6-8kmにあり、長期間貯留されていたと考えられる低温マグマと、新たに注入した高温玄武岩マグマが混合し、今回の噴火に至ったと推定された。
- 新燃岳2011年1月の噴火過程とその時間スケール (PDF, 122KB, 1頁)
- 磁鉄鉱 (元素拡散が速く短時間 (数年以内) のマグマプロセスを記録している) の化学組成や累帯構造パターン解析を行なった。その結果、2011年1月26〜27日の噴火には4つのマグマが関与したこと、2011年の噴火に先立ち高温マグマの注入が繰り返されていたと推定された。
2011年2月3日 噴火予知連絡会拡大幹事会
噴火予知連絡会拡大幹事会 (2011年2月3日開催) において産総研地調が提出した資料。
- 1月26-27日噴火のテフラ分布図及びそれから求められる噴出量 (PDF, 77KB, 1頁)
- 1月26-27日の噴火による堆積量の合計は、7.2×107トンと推定されます (噴火マグニチュード3.9)。
- 2月1日現在の火口内溶岩の体積推定 (PDF, 1.7MB, 2頁)
- 今回の噴火で新たに火口内に蓄積された溶岩 (「溶岩ドーム」もしくは「溶岩湖」) の体積推定を行ないました。その結果、2011年2月1日朝現在の体積は約 700-1000 万 m3 であると推定されました。
- 噴出物の化学組成 (PDF, 1.1MB, 5頁)
- 1/19と1/27のマグマは、1716-1717年噴火マグマとほぼ同様な岩石的特徴 (全岩および鉱物化学組成、温度) を持ちます。今回のマグマはかんらん石を少量含み、マグマ溜りに、より高温/苦鉄質なマグマが、噴火直前に注入した可能性があります。
- エナジーコーンモデルによる火砕流シミュレーション結果 (PDF, 13.9MB, 3頁)
- 新燃岳から発生が予想される火砕流のエナジーコーンモデル (GEO Grid 火山重力流シミュレーションシステム) によるシミュレーションを行ないました。その結果、現在継続中の爆発的噴火 (噴石の到達高度は火口から数 100m) であっても、「噴煙密度が高く大気と混合しても浮力が獲得できない噴火」が起きた場合には、享保噴火クラスの火砕流が発生し得ることがわかりました。
2011年 (定例会以外)
霧島山新燃岳に関して2011年の火山噴火予知連絡会に産総研地調が提出した資料 (定例会以外)
- 霧島山新燃岳から2011年8月31日に噴出した火山灰粒子
- 2011年8月31日に霧島山新燃岳から噴出した火山灰は、新鮮で相対的に緻密なブロック状粒子が多く含まれる。 発泡した粒子も含まれるが、その含有量は、6月29日噴火火山灰の26.4%に比べて5.6%と、大きく減少している。
- 霧島山新燃岳から2011年6月29日に噴出した火山灰粒子 (PDF, 209KB, 2頁)
- 2011年6月29日に霧島山新燃岳から噴出した火山灰には、新鮮で発泡した粒子が含まれる。発泡した粒子は全体の3割程度で、4月及び6月16日噴出物に比べ発泡した粒子の量が増加している。
- 2011年6月29日噴火の噴出量 (PDF, 344KB, 2頁)
- えびの市、気象庁、鹿児島大学井村准教授 twitter からの情報を基に29日午後3時ごろまでの降灰量を推定した結果、3万トン程度の噴出量と考えられる。
- 新燃岳 2011年6月16日に噴出した火山灰粒子 (PDF, 180KB, 1頁)
- 2011年6月16日に霧島新燃岳から噴出した火山灰粒子は、4月3日、9日の火山灰に比べて、発泡した粒子 (スコリア粒子・軽石粒子) がわずかに増加したものの、全体として構成粒子に大きな変化は見らない。
- 噴出量見積もり (2011年1月26-27日噴火) (PDF, 143KB, 2頁)
- 火口から数km以上離れた地域における現地調査と、火口近傍の空撮による推定を総合し、今回の噴火の中で最も大きなイベントである26日〜27日朝の噴火の総噴出量を推定した。26日〜27日朝の噴火の総噴出量は約7千万トンと推測される。そのうち、火口から約7km離れた都城市御池付近から、日南海岸までの陸上部に堆積した火山灰の総量は約400万トンと推定される。
- 霧島山新燃岳2011年1月19日噴出物の構成粒子 (PDF, 475KB, 2頁)
- 新燃岳2011年1月19日火山灰には、少量の新鮮な軽石質粒子が含まれる。軽石質粒子は全体の10%以下で、それ以外の粒子は既存の山体を構成するさまざまな程度に熱水変質や風化を被った粒子からなる。
2010〜2008年 (定例会以外)
霧島山新燃岳に関して2008〜2010年の火山噴火予知連絡会に産総研地調が提出した資料 (定例会以外)
- 霧島山新燃岳2010年6月27〜28日噴出物の構成粒子 (PDF, 2MB, 1頁)
- 新燃岳2010年6月27日~28日に噴出したと考えられる火山灰の構成粒子の大部分は、火口周辺の岩石等が粉砕された類質岩片と考えられる。少量の黒色スコリア質岩片が含まれるが、いずれも既存の火山体に由来するものと考えられ、新鮮な発泡ガラス粒子など明らかなマグマ物質粒子は見出されていない。
- 霧島新燃岳からの二酸化硫黄放出率 (2008年9月1〜2日) (PDF, 2.1MB, 1頁)
- 2008年09月01日と02日に COMPUSS を用いた二酸化硫黄放出率の計測を霧島新燃岳の周辺部で行い、約50 ton/day の放出率値を得た。
- 霧島山新燃岳2008年8月22日火山灰の観察結果 (予報) (PDF, 913KB, 3頁)
- 新燃岳2008年8月22日火山灰は、既存の山体を構成する岩片を主体とする。これらの岩片は様々な程度に熱水変質を受けている。新鮮なガラス質岩片もごく少量伴なう。
- 霧島山新燃岳2008年8月22日噴出物の分布および噴出量 (PDF, 1.2MB, 2頁)
- 新燃岳2008年8月22日噴火の噴出物は、新燃岳火口から北東方向に飛散し、幅約3Kmの帯状の地域に降下した。火口外に飛散した噴出物の総量は約20万トンと推測される。