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30000年前以降の霧島火山の活動史 / 霧島山新燃岳2011年噴火
このページは30000年前 (30ka※) 以降の火山活動について紹介する。
kaとは? → 地質学者が用いる年代の尺度で、1000年前の意味。例えば10kaは10000年前を表す。
何故30ka? → 便宜上である。霧島地域では入戸火砕流 (約30ka; 3万年前) が明瞭な鍵層となる。
概要
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
30kaから10ka頃まで
飯盛山、甑岳、丸岡山、韓国岳、新燃岳、中岳などの小型成層火山が形成され、六観音御池のマールが形成された。これらの火山は北西-南東方向に広く分布している(→ 30000年前以降に活動した火山の分布:図拡大 )。
この期間の比較的大規模な噴火として、韓国岳起源の小林軽石、新燃岳起源の瀬田尾軽石の活動が知られている。小林軽石を噴出した活動は、プリニー式噴火とブルカノ式あるいはストロンボリ式噴火を繰り返していた。
10ka以降
南東部で高千穂峰、御鉢の成層火山が形成され、琵琶池、大幡池、御池などのマールが形成された。このうち、御池を形成した4.6kaの火山活動は、霧島火山の活動史中最大のプリニー式噴火であった。10ka以降は明瞭な鍵層となりやすい比較的頻繁に規模の大きいテフラを噴出している。
30000年前以降に活動した火山の火口位置と噴出物の分布。
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歴史時代
御鉢と新燃岳の活動が主となる。御鉢では明治から大正時代にかけて現在の桜島火山のような爆発を繰り返し、死傷者も出していた。新燃岳では享保元年〜2年にかけて軽石の噴出と火砕流を流出した活動を行った。
30000年前(30ka)以降の霧島火山の活動史。
→ 図拡大
活動史の全容
右中の図 (30000年前以降に活動した火山の火口位置と噴出物の分布) は、井村・小林 (2001) および筒井ほか (2007) に基づき、作成した。赤の線は火口を示している。
右下の図 (30000年前 (30ka) 以降の霧島火山の活動史) は、井村・小林 (2001) に基づき、その後報告された知見を整理したものである。緑色の線は霧島火山を給源とする規模の大きいテフラを示し、黄色の星印はその給源火山を示している。紫色の線は霧島火山以外を給源とするテフラである。
※ 注 : 今後の研究の進展によって、活動時期が見直される可能性がある。
構成火山
以下、北西から南東の順に、霧島連峰を構成する火山を紹介する。
飯盛山火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動時期は約29-22 kaの間である。
- 火山体は主に溶岩流を流出し形成された。
霧島火山の北西端に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (井村・小林、2001)。飯盛山の北側では溶岩じわなどの微地形がみられる。
荒牧 (1968) によると、入戸火砕流 (29 cal ka BP ; 奥野、2002) の水中堆積物である加久藤層群京町層で見られる変形は、堆積物が未固結な状態で飯盛山溶岩が重なったためと考え、入戸火砕流の直後から活動を開始したと推定される。 また、Imura (1992) によると、飯盛山火山は約22 cal ka BP (奥野、2002) に噴出した韓国岳スコリア (甑岳テフラ群) に覆われているとしている。
白鳥山火山 (新期)
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動時期は約29-22 kaの間である。
- 新期の山体はブルカノ式噴火と溶岩流の流出により形成された。
白鳥山火山は 韓国岳 の北西方に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
主山体と新期溶岩で構成され、新期溶岩はかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩である (井村・小林、2001)。
田島・小林 (2010) は、白鳥温泉付近で入戸火砕流との層位関係は不明であるが、白鳥山周辺で層厚を増すテフラを見出した。本層は下位から降下スコリアを挟在する火山砂層、軽石層、粗粒火山砂層で構成され、軽石層の上位に新期溶岩が分布するが、粗粒火山砂層との関係は不明である。これら白鳥山起源のテフラの上位に韓国岳スコリア (甑岳テフラ群; 田島・小林、2010) が存在する。
白鳥山周辺で見られる火山砂層は、ブルカノ式噴火に伴うと考えられる (田島・小林、2010)。
韓国岳中腹から見た白鳥山火山。遠景の鉄塔のある場所が山頂部。
六観音御池火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動時期は約29-22 kaの間で、主山体の形成時期は白鳥山火山新期の溶岩流の流出以前である。
- ベースサージを伴う噴火を行い、マールが形成された。
甑岳と白鳥山の間にある火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (井村・小林、2001)。白鳥山火山の新期溶岩に覆われている。
田島ほか (2005) によると、六観音御池は2重の火口地形を形成し、火口の脇にはATより上位に相当すると考えられる層厚20mに達するベースサージ堆積物が確認されている。
また、Imura (1992) によると、六観音御池火山は韓国岳スコリア (甑岳テフラ群) に覆われているとしている。
不動池火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
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- 活動時期は約7.6 ka以前と3世紀後半-5世紀前半である。
- 溶岩流は前半の時期に流出し、後半の時期は水蒸気爆発が発生した。
- 後半の時期の活動のひとつは1112年の「韓国岳発火」という記録に対応する可能性が指摘されている。
韓国岳と白鳥山の中間に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は斜方輝石単斜輝石安山岩で構成される (井村・小林、2001)。
不動池溶岩は、鬼界アカホヤ火山灰 (7.3 cal ka BP ; 奥野、2002) を挟在する牛のすね火山灰層 (約7.6-7.1 cal ka BP ; 奥野、2002) に覆われている (田島ほか、2008)。
田島ほか (2008) は、えびの高原周辺で鬼界アカホヤ火山灰 (7.3 cal ka BP ; 奥野、2002) の上位に5層のテフラを確認し、そのうち、Eb-Cを不動池起源としている。
田島ほか (2008) によると、Eb-Cは、層厚20cmの風化テフラ層で、不動池周辺で層厚が最大となる。この層準に3層の火山泥流堆積物が認められる。
Eb-Cは直下の黒色土壌が1700±50yBP、上位の黒色土壌が1360±40yBPという14C年代を示し、3世紀後半〜5世紀前半のテフラであると考えられる。
この一連の噴火の一つは、1112年の「韓国岳発火」という記録に対応する可能性がある (田島ほか、2008)。
不動池火山の火口である不動池。
甑岳火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
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- 活動時期は約22-16.7 kaの間で、主活動は約22 kaである。
- サブプリニー式噴火とブルカノ式噴火の繰り返しと溶岩流の流出によって形成された。
韓国岳火山の北方に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (井村・小林、2001)。
田島・小林 (2010) は、降下スコリアと粗粒火山灰の互層からなる韓国岳スコリア (井村、1994) は層厚・最大粒径とも甑岳周辺で最大値を示すことから、それを甑岳テフラ群と改称した。
本テフラ群は白鳥山を起源とするテフラ層の上位に位置し、韓国岳起源の小林軽石 (噴出年代16.7 cal ka BP ; 奥野、2002) に覆われる。甑岳の溶岩流との関係は見直しが必要である。
韓国岳スコリア (甑岳テフラ群) の噴出年代は約22 cal ka BP (奥野、2002) で、サブプリニー式噴火とブルカノ式噴火を繰り返しによって形成された (Imura,1992)。
韓国岳中腹から見た甑岳火山。平坦な山頂部を持つのが特徴である。
硫黄山火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
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- 活動時期は14-15世紀と16-17世紀頃である。
- 溶岩流の流出と水蒸気爆発からマグマ水蒸気爆発により形成された。
- これまで硫黄山の出現は明和五年 (1768年) と推定されていたがそれより古いと考えられる。
硫黄山火山は、韓国岳北西麓に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は斜方輝石単斜輝石安山岩で構成される (井村・小林、2001)。
田島ほか (2008) は、えびの高原周辺で鬼界アカホヤ火山灰 (7.3 cal ka BP ; 奥野、2002) の上位に5層のテフラを確認し、そのうち、Eb-Bを硫黄山起源としている。
田島ほか (2008) によると、Eb-Bは、乳白色〜青灰色の細〜粗粒の砂質火山灰からなり、風成層を挟みB1とB2に分けられる。B2には緻密で発泡の悪い本質岩片が多く含まれている。 等層厚線の中心は硫黄山付近となり、Eb-B1中の炭化物が570±40yBP、B1とB2の間の風成層中の炭化物が240±40yBP、310±40yBPという14C年代を示す。 従って、これまで硫黄山の出現は明和五年 (1768年) と推定されていたが、14〜15世紀と16〜17世紀頃に形成されたと考えられる。
韓国岳中腹から見た硫黄山火山。山頂部の凹みは火口。
韓国岳火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
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- 活動時期は約22-13 kaと2300-2500BC頃、1768年で、主活動は約16.7ka以前である。
- 主山体は溶岩流を流出した後、プリニー式噴火とブルカノ式噴火あるいはストロンボリ式噴火を繰り返した、小林軽石の噴火エピソードによって山頂部の火砕丘が形成された。
- これまで硫黄山の出現と推定されていた明和五年 (1768年) は、韓国岳2岩屑なだれが発生したイベントであった可能性がある。
韓国岳火山は霧島火山の最高峰 (1700m) を構成する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (井村・小林、2001)。
韓国岳スコリア (甑岳テフラ群) と韓国岳の溶岩が互層していることから、韓国岳と甑岳はほぼ同時期に活動を開始したと考えられる。その後、小林軽石が噴出し、山頂部の火砕丘はこの時に形成したと考えられる (井村、1994)。
小林軽石の噴出年代は16.7 cal ka BP (奥野、2002) で、結晶質な発泡の良い軽石と灰色の石質火山砂の互層で構成しており、プリニー式噴火とブルカノ式噴火あるいはストロンボリ式噴火の繰り返しによって形成された (Imura,1992)。
また、小林軽石中には発泡の悪い黒色火山砂を基質とする火砕流も挟在する (Imura,1992)。
田島ほか (2008) は、えびの高原周辺で鬼界アカホヤ火山灰 (7.3 cal ka BP ; 奥野、2002) の上位に5層のテフラを確認し、そのうち、Eb-DおよびEb-Aを韓国岳起源としている。
田島ほか (2008) によると、Eb-Dは、軽石を含む粗粒火山灰、礫混じり火山灰と青灰色本質岩片からなる淘汰の悪い火砕物などで構成され、炭化した樹木の含まれることから、一部は火砕流起源の可能性もある。この等層厚線は韓国岳北西斜面に求められ、この斜面を起源とする崩壊堆積物 (韓国岳1岩屑なだれ) がこの層準に存在している。Eb-Dは新燃岳起源の前山軽石 (5.6 cal ka BP ; 奥野、2002) の上位で、Eb-D中の炭化木片の14C年代は3880±50yBP、4020±50yBPで、2300-2500BC頃の噴火によるテフラと考えられる。
Eb-Aは、薄い火山灰層からなり、韓国岳西側火口壁の急崖を給源とする崩壊堆積物 (韓国岳2岩屑なだれ) と同層準であり、水蒸気爆発によるテフラと考えられる (田島ほか、2008)。Eb-A中の炭化木片の14C年代は150±40yBPであり、田島ほか (2008) では明和五年 (1768年) の地変は硫黄山の形成ではなく、このイベントに対応される可能性が大であるとした。
えびの高原から見た韓国岳火山。山体崩壊による馬蹄形カルデラを有する。
琵琶池火口
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
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- 活動時期は7.3ka以前である。
- 一回の噴火エピソードでマールが形成された。
韓国岳の南東斜面に位置する火口 (マール) である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
Imura (1992) によると、活動時期はK-Ah火山灰 (7.3cal ka BP ; 奥野、2002) 以前で、一回の噴火エピソードで形成した可能性があるとしているが、 堆積物に関する記述はない。
新燃岳火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動開始は16.7ka以前で、歴史時代も噴火を繰り返している。2011年噴火に関しては こちら
- 最近の比較的大きな噴火は 享保噴火 (1716-17年) である。
- 溶岩を流出した山体は16.7kaまでにほぼ形成され、それ以降はプリニー式噴火やブルカノ式噴火を繰り返している。
新燃岳火山は霧島火山のほぼ中央部に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (井村・小林、2001)。
山体西側斜面に韓国岳起源の小林軽石 (16.7cal ka BP ; 奥野、2002) が分布することから、溶岩流で構成される山体はそれ以前に形成された (井村・小林、1991)。 筒井ほか (2005a) によると、御鉢南西麓にある武床溶岩 (井ノ上、1988) は、岩質および推定される古地形から新燃岳起源である可能性がある。
その後の比較的大きな噴火は、瀬田尾軽石 (10.4cal ka BP ; 奥野、2002)、前山軽石 (5.6cal ka BP ; 奥野、2002)、新燃岳-享保軽石 (AD1716-17年) を噴出した活動である。
瀬田尾軽石は結晶粒に富む軽石で小林軽石とよく似ており、小林軽石と同様、プリニー式噴火とブルカノ式ないしは準プリニー式噴火を繰り返す噴火を行った (井村・小林、1991)。
前山軽石は、プリニー式あるいは準プリニー式噴火による堆積物と考えられる (井村・小林、1991)。
筒井ほか (2005b) によると、これまで新燃岳の活動と考えられていた明和8-9年 (1771-1772年) の噴火活動は、古記録から御鉢火山の活動と特定された。
新湯付近からみた新燃岳火山。
大幡山火山 (新期)
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
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- 活動期間は約7.6-6.0kaの間である。
- 水蒸気噴火が主であるが、約7.0kaには山頂から溶岩流が流出した。
大幡山火山は新燃岳の北東に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
主山体と新期溶岩で構成され、新期溶岩は有斜方輝石単斜輝石安山岩である (井村・小林、2001)。
筒井・小林 (2008) によると、層厚、粒径から大幡山起源と考えられる4層のテフラが分布する (上位からOy-1〜Oy-4)。 Oy-4は牛のすね火山灰 (約7.6-7.1cal ka BP ; 奥野、2002) の直下に分布する。 鬼界アカホヤ火山灰 (7.3cal ka BP ; 奥野、2002) を挟在する牛のすね火山灰を挟み、Oy-3および新期溶岩が流出し、最後にOy-1およびOy-2が噴出している。 噴出年代は約7.0-6.5 kaと推定される (筒井・小林、2008)。
Oy-1〜Oy-4はテフラの特徴からいずれも水蒸気爆発によるものと考えられる。
大幡池火口
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動期間は7.3ka以前である。
- 一回の噴火エピソードでマールが形成された。
大幡山の北東斜面に位置する火口 (マール) である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
Imura (1992) によると、活動時期はK-Ah火山灰 (7.3cal ka BP ; 奥野、2002) 以前で、一回の噴火エピソードで形成した可能性があるとしているが、 堆積物に関する記述はない。
丸岡山火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動期間は29-22kaの間である。
- 主に溶岩流の流出によって火山体は形成された。
丸岡山火山は新燃岳の北東に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (井村・小林、2001)。
Imura (1992) によると、丸岡山火山は約22 cal ka BP (奥野、2002) に噴出した韓国岳スコリア (甑岳テフラ群) に覆われているとしている。 丸岡山起源のテフラは現在のところ識別されておらず、溶岩の流出が主な活動であった可能性がある。
霧島火山中央部の北東-南西方向に並んだ火山。右から2番目のピークが丸岡山火山。
中岳火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動時期は7.3ka以前-AD788年の間である。
- 溶岩流の流出と水蒸気噴火とブルカノ式噴火を繰り返し形成された。
中岳火山は新燃岳の南東に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (井村・小林、2001)。
中岳の最も古い溶岩流は、牛のすね火山灰 (約7.6-7.1 cal ka BP ; 奥野、2002) に覆われている。
筒井ほか (2005a) によると、御池軽石 (4.6cal ka BP ; 奥野、2002) の上位に中岳起源と推定される10層のテフラが識別され、これらは水蒸気噴火またはブルカノ式噴火によるものとした。
これらのテフラは御鉢起源の片添テフラ (AD788年) に覆われる。
筒井ほか (2007) では、御鉢南麓に分布するテフラ、溶岩のうち、井ノ上 (1988) が御鉢起源と記載したOh-1およびOh-2、御鉢溶岩Ⅰ〜Ⅲは、岩相や分布等から中岳起源と判断した。
御鉢中腹からみた中岳火山。中岳火山の奥は新燃岳火山。
御鉢火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動開始はAD700年頃からで、最近では明治〜大正時代に活発な活動を行った。
- 2回の比較的大規模なプリニー式噴火で山体が成長した。それ以降は水蒸気噴火やブルカノ式噴火を行っている。
- これまで新燃岳の活動とされていた明和8-9年(1771-1772年)の活動は御鉢火山の活動である。
御鉢火山は高千穂峰の西斜面に位置する火山である。高千穂複合火山 (井ノ上、1988) の一部である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主に斜方輝石含有単斜輝石かんらん石玄武岩質安山岩およびかんらん石複輝石安山岩の溶岩および火砕岩で構成される (筒井ほか、2007)。
筒井ほか (2007) によると、御鉢火山はAD約700年の荒襲テフラ層の噴火によって誕生し、AD1235年の高原スコリア層までの最初の約540年間で現在とほど同じ規模の山体を形成した。
山体のほとんどは片添スコリア (AD788年) と高原スコリア (AD1235年) を噴出した2回の噴火で形成され、これらの噴火は比較的大規模な準プリニー式噴火によって、山体が大きく成長した。
ブルカノ式噴火や水蒸気噴火及び小規模な準プリニー式噴火も行っているが、これらは山体の成長にはほとんど寄与していない。
筒井ほか (2007) では、御鉢南麓に分布するテフラ、溶岩のうち、井ノ上 (1988) が御鉢起源と記載したOh-1およびOh-2、御鉢溶岩Ⅰ〜Ⅲは、岩相や分布等から中岳起源と判断した。また、筒井ほか (2005a) によると、御鉢南西麓にある武床溶岩 (井ノ上、1988) は、岩質および推定される古地形から新燃岳起源である可能性がある。
筒井ほか (2005b) によると、これまで新燃岳の活動と考えられていた明和8-9年 (Ⅰ771-1772年) の噴火活動は、古記録から御鉢火山の活動と特定された。
御鉢火山の火口。直径は約700m。
高千穂峰火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動時期は8.1 ka以降-6.8 ka頃の間である。
- ブルカノ式噴火の繰り返した時期に山体が成長し、最後に溶岩ドームを形成した。
高千穂峰 (1574m) を構成する火山である。高千穂複合火山 (井ノ上、1988) の一部である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は主にかんらん石含有斜方輝石単斜輝石玄武岩質安山岩で構成される (井村・小林、2001)。
井ノ上 (1988) はここでいう高千穂峰火山を古高千穂火山 (OTk) と高千穂峰火山 (Tk) のそれぞれ独立した火山体と考えたが、 山下ほか (2003) では、層序を再検討した結果からTkはOTkの西側火口付近の出現したスコリア丘と溶岩ドームと考えた。
高千穂峰火山の最も下位の溶岩は、蒲牟田スコリア (8.1cal ka BP ; 奥野、2002) に覆われている。
牛のすね火山灰 (約7.6-7.1cal ka BP ; 奥野、2002) は、高千穂峰火山の成長に伴う火山灰で、ブルカノ式噴火の繰り返しによってもたらされた (山下ほか、2002)。
末期に噴出した皇子スコリア (6.8cal ka BP ; 奥野、2002) に対比されるアグルチネートは、最後に噴出したと考えられる山頂ドームの溶岩に直接覆われている。
道の駅霧島からみた高千穂峰火山。ピークの左側の高まりが御鉢火山。
小池火口
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動時期は4.6ka以前である。
- 火山活動に関する詳細な情報は不明であるが、マールを形成した。
御池の南西に位置する火口 (マール) である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
Imura (1992) によると、御池軽石 (4.6cal ka BP ; 奥野、2002) より前に形成されたとしているが、堆積物の関する記述はない。
御池火山
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
- 活動時期は4.6kaである。
- ベースサージを伴うプリニー式噴火によって火口 (マール) が形成された。
霧島火山の東端に位置する火山である。この場所を GoogleMapで見る、シームレス地質図で見る
山体は角閃石含有単斜輝石斜方輝石デイサイトのベースサージ堆積物を伴う降下軽石で構成される (井村・小林、2001)。
この火山では霧島火山の活動史中最大のプリニー式噴火を行い、御池軽石を噴出させた。
この軽石は発泡の乏しい黄色軽石が優勢で、少量の灰色軽石と緻密な石質岩片、火山豆石で構成される。この軽石の噴出年代は4.6 cal kaBP (奥野、2002) である。
御池軽石を噴出した御池火口。背後は高千穂峰火山。
引用文献
概要 : 飯盛山, 白鳥山 (新期), 六観音御池, 不動池, 甑岳, 硫黄山, 韓国岳, 琵琶池, 新燃岳,
大幡山 (新期), 大幡池, 丸岡山, 中岳, 御鉢, 高千穂峰, 小池, 御池 | 引用文献, 写真リスト
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