2014年2月26日西之島上空観察報告

平成26年 2月28日火山噴火予知連絡会報告

  読売新聞社社機(みらい:JA560Y)による西之島取材に同行し、上空から火山活動を観察した。調査日時は2014年2月26日、現地滞在時間は12:35から13:04の約30分間。上空を旋回して肉眼観察および写真・ビデオ撮影を行った(観察者:川邉禎久)。なお火口名称などは海上保安庁2月21日報告に準じる。

 2014年2月26日、読売新聞社の社機に同乗して小笠原西之島火­山の噴火活動を上空から撮影。(YouTube 産総研チャンネル)

 

  これまでの観察報告と比較して、噴火の様子に大きな変化はない。噴煙は南西方向に流れ、噴煙高度は高度400mから600m程度。噴煙の下をくぐった時に刺激臭をわずかに感じた。(写真1)

 

写真1 南側上空からの西之島。青白色の火山ガスが途切れずにたなびいている火口が中央部火口。噴煙を上げはじめたのが北側火口。(2/26 12:43撮影)

 

  溶岩流は火口東側から南側にかけてのローブが活発で、特に東側に伸びる2つの流れが顕著である。海上保安庁の2月21日の映像と比較すると、溶岩ローブが伸びたことにより東側の湾がより長く伸び、その西側の閉塞池は溶岩流の流入で小さくなっている。東側湾からは変色水が流出している。(写真2、写真3)

 

写真2 東側上空から。火口の南側および北側から東に流れる溶岩流の活動が顕著。(2/26 12:43撮影)

 

写真3 東側から。活発な溶岩流と火砕丘。火山灰を放出しているのは北側火口。(2/26 12:54撮影)

 

  東側南側に比べると西側での溶岩流の活動は低調であるが、2月21日の映像と比較して小さなローブの前進が認められる。北側(旧西之島側)には新たな溶岩流の成長は認められない。(写真4)

 

写真4 西側上空からの西之島。西側海岸には21日よりわずかに前進した小さな溶岩ローブが認められる。21日と比較して北側への溶岩流前進は認められない。昭和噴火の溶岩流はまだ覆われていない。(2/26 12:42撮影)

 

  噴煙が主に上がっているのは傾斜の急な火砕丘上に開口した中央部火口およびその北側火口の2ヶ所であった。いずれも間欠的に溶岩片、火山灰を放出するストロンボリ式噴火を繰り返している。海上保安庁の2月21日の観察結果にある火砕丘北東斜面にははっきりとした火口地形は認められないが、何回か赤熱部分が見え、観察していた約30分間に1,2回ほど薄い噴煙を放出していた。(写真5)

 

写真5 中央部火口(左)とそのやや右下の薄い噴煙を上げる赤熱部が火砕丘北東斜面火口。右側が北側火口。(2/26 13:02撮影)

 

  火砕丘上の中央部火口からは継続的に青白色の噴煙が噴出しており、数分間隔で赤熱スパッターおよび灰色のやや薄い噴煙を吹き上げていた。 北側火口はやや平低な溶岩丘の中心部の小さな火口であり、内部は赤熱している。中央部火口と異なり、数秒から数十秒間の噴煙活動休止ののち、灰白色のやや濃い噴煙を数十秒間連続して吹き上げる活動を繰り返していた。

 

  観察にあたり読売新聞社に便宜を図っていただいた。記して感謝します。

 

 

 

作成日:2014/ 3/ 4