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霧島山新燃岳2008年噴火情報 トップへ

現地調査  9月1日〜2日

概要

産総研地質調査総合センターでは、霧島山新燃岳の8月22日噴火の降灰調査及び火山ガス調査を行いました。噴出物の分布の概要を把握しました。

火口の様子


大浪池東縁付近から見た
西側山腹の割れ目火口群。
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9月1日、大浪池東 (新燃岳割れ目火口の西端まで約2km地点) より、新燃岳西側山腹の割れ目火口付近の観察を行った。白色噴煙が山頂火口の内部 (見えない) および西側山腹の割れ目火口から噴出している。西側山腹の噴煙は、割れ目火口の主に上下2箇所から噴出している。そのうち、下側の標高約1270m付近のからの噴煙が最も活発である。割れ目火口の周辺には小規模な噴気が多数分布している。1959年割れ目火口の上端部付近からもやや小規模な白色噴煙が噴出している。割れ目火口の周辺は噴出物で覆われている。また火口から投出された岩塊が散在している。
今回開口した割れ目火口の北側にある1959年の割れ目火口群からは噴気は確認できない。


大幡山から見た新燃岳の噴煙。
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9月2日、新燃岳火口から北東約2kmにある大幡山山頂付近から、新燃岳山頂火口の観察を行った。当日は白色の噴煙が火口縁から最大 200mほど上昇し、東に流れていた。噴煙の大部分は、"兎の耳" と呼ばれる、火口南縁にある突出した岩塊よりも東側から上昇している。

大幡山から見た
新燃岳火口外側の斜面。
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降灰主軸にあたる新燃岳火口北東側の斜面の様子。スカイラインが新燃岳の火口縁。火山灰の堆積による倒木等がみられないことから、火山灰の堆積量は最大でも数cmと推測される。

新湯温泉付近から見た
西側山腹の割れ目火口群。
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9月2日、新湯温泉付近 (新燃岳火口中心から約2.8km) から新燃岳山頂付近の観察を行った。
西側山腹の割れ目火口の2箇所から白色噴煙が噴出している。北側にある1959年の割れ目火口群からは噴気は確認できない。

9月2日、新湯温泉付近 (新燃岳火口中心から約2.8km) から新燃岳山頂付近の観察を行った。
西側山腹の割れ目火口の2箇所から白色噴煙が噴出している。北側にある1959年の割れ目火口群からは噴気は確認できない。

噴出物の分布

新燃岳から北東 2〜 11kmの地域で噴出物の分布調査を行った。
新燃岳火口から約 2.5kmの大幡池〜大幡山付近では、火山灰の層厚は 2〜 3mmであった。約6km離れた夷守岳東麓では、層厚は 1mm以下と思われる。多くの地点では火山灰は降下直後に二次移動しくぼ地等に再堆積している。


大幡山頂上付近の火山灰の堆積状況。
手前の裸地面に灰色の火山灰が堆積している。
多くは流水により二次移動したもの。遠景は新燃岳。


大幡山頂上付近の火山灰層の断面。層厚は 2〜3mm。
この地点ではほぼ堆積時の層厚が保存されている。


笹の葉に付着した火山灰。大幡池の南側稜線にて。
噴火から 10日以上が経過し、樹木等に付着したと思われる
火山灰はほとんど雨で洗い流されている。


大幡池南縁の火山灰の堆積状況。
二次移動した灰色の火山灰が礫の間に堆積している。


洗い集められた黄鉄鉱の結晶。大幡池南縁にて。


湖岸の浅い水底には、リップルマークが発達した火山灰の
二次堆積物がみられる。大幡池南縁にて。


火口から約 8km地点 (小林市東牧場付近) の火山灰の堆積状況。
平らな人工物の上にうっすらと残っているのが確認できる。

本件担当

地質情報研究部門 火山活動研究グループ  下司信夫

地質調査総合センター
産業技術総合研究所