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福徳岡ノ場を起源とする軽石の特徴
Features of pumice rafts from Fukutoku-Oka-no-Ba submarine volcano

活断層・火山研究部門
開設:2021年11月19日

 10月以降、福徳岡ノ場火山から噴出した大量の軽石が日本列島各地に流れ着いています。当初は主に沖縄県をはじめとする南西諸島に流れ着きましたが、11月に入ってからは伊豆七島など、関東近海でも確認されるようになってきました。ただし、海岸で見られる軽石には、福徳岡ノ場以外から流れ着いたものもあります。そこで、岩石種の判定に詳しくない方でも簡易的に確認できるよう、3つの特徴を以下にまとめました。

1.見た目

 色は主に白色~黄みがかった灰色です(写真1、2、3)。中には、濃い灰色の縞が入ったものや、少数ですが黒色のものもあります(写真3)。径1~5 mm程度の黒い部分(写真1左下、写真2下)が目立つのが特徴であり、チョコチップクッキーのような外見です。海岸で見つかる他の軽石(写真1右側)と比較すると、ややごつごつしているものもあります。

写真1 沖縄県国頭村伊部海岸で採取された福徳岡ノ場2021年噴火による軽石と、福徳岡ノ場以外を起源とする軽石。福徳岡ノ場以外を起源とする軽石(起源は不明)は、関東地方の海岸(茨城県大竹海岸)で普段から見られる。背景の方眼は5 mm。

写真1 沖縄県国頭村伊部海岸で採取された福徳岡ノ場2021年噴火による軽石と、福徳岡ノ場以外を起源とする軽石。福徳岡ノ場以外を起源とする軽石(起源は不明)は、関東地方の海岸(茨城県大竹海岸)で普段から見られる。背景の方眼は5 mm。

写真2 福徳岡ノ場2021年軽石の拡大写真。表面の小さい穴(気孔)の形状は大小様々で、断面によっては大きく見えるものや、引き伸ばされているものもある。黒色部分の大きさは径1~5 mmで、結晶(顕微鏡で見ると斜長石・輝石・不透明鉱物など)と褐色ガラスが集まって形成されている。背景の方眼は5 mm。

写真2 福徳岡ノ場2021年軽石の拡大写真。表面の小さい穴(気孔)の形状は大小様々で、断面によっては大きく見えるものや、引き伸ばされているものもある。黒色部分の大きさは径1~5 mmで、結晶(顕微鏡で見ると斜長石・輝石・不透明鉱物など)と褐色ガラスが集まって形成されている。背景の方眼は5 mm。

写真3 沖縄県国頭村伊部海岸で採取された福徳岡ノ場2021年軽石のバリエーション。主に写真1に示した白色~灰色の軽石が漂着するが、濃い灰色や黒色のもの、濃い灰色の部分を取り込んだものや縞状に混ざり合ったものなど、様々な色や内部構造をもつものも含まれる。背景の方眼は5 mm。

写真3 沖縄県国頭村伊部海岸で採取された福徳岡ノ場2021年軽石のバリエーション。主に写真1に示した白色~灰色の軽石が漂着するが、濃い灰色や黒色のもの、濃い灰色の部分を取り込んだものや縞状に混ざり合ったものなど、様々な色や内部構造をもつものも含まれる。背景の方眼は5 mm。

2.重量

 沖縄県に漂着した軽石の多くは、径4 cmより小さいです。漂流している間に壊れたり摩滅したりするため、関東近海ではもう少し小さい径の軽石が見つかる可能性が高いです。今回の軽石は小さな穴がたくさんあいたガラス質の岩石で、1粒1粒はスポンジのような軽さです。

3.最近多量に流れ着いた

 軽石は帯状にまとまって海を漂流しています。一定の量がごく短期間に流れ着いた、海岸沿いに連続して追跡できる、ということも判別のポイントです。
 なお、今回の軽石と福徳岡ノ場火山の1986年噴火の軽石とは、肉眼観察でも全岩化学組成においても似ているため、両者の区別は困難です。

参考情報

参考情報は下記に掲載しています。

 

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産総研地質調査総合センター