第15回
概要
産総研では、地震の発生や被害の予測のために、地形・地質学にもとづく過去の地震に関する研究と、地球物理学にもとづく現在の地殻活動の研究を進めてきま した。2009年度からは、これらの研究を融合して強化するため、新しく活断層・地震研究センターを発足させました。本シンポジウムでは最近起こった内陸 地震から浮かび上がる研究課題や、新センターが目指す地震の予測に関する研究を紹介します。
タイトル | 地質調査総合センター第15回シンポジウム 古地震と現在の地殻活動から地震を予測する -産総研 活断層・地震研究センターが目指す地震研究- |
日時 | 2009年7月2日 (木) 13:00〜17:35 |
会場 | 秋葉原ダイビル コンベンションホール→<アクセス> (東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル2階) |
主催 | 独立行政法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター |
参加費 | 無料 |
事前参加登録 | 終了しました |
CPD 希望の方のご登録 | 終了しました |
プログラム
13:00- |
開会 司会 : 粟田泰夫 |
13:00-13:10 |
挨拶 加藤碩一 (地質調査総合センター代表) |
13:10-13:25 |
古地震研究と地震研究の融合と可能性 岡村行信 (活断層・地震研究センター長) |
活断層・地震研究センターは、地形・地質学的手法に基づいた古地震研究と最近の地球物理学的観測データに基づいた地震研究との融合を掲げて設立された。新しいセンターが目指す地震研究とその可能性を紹介する。 | |
13:25-13:45 |
2008年岩手・宮城内陸地震の地震断層 丸山 正 |
岩手・宮城内陸地震は、従来活断層が認定されていない場所で発生した。活断層・地震研究センターでは、地震像の解明を目的として、緊急現地調査、航空レーザ・地上レーザ計測による詳細地形判読およびトレンチ調査を実施した。その結果、既存の活断層によるものであることが明らかになった。 | |
13:45-14:05 |
地表での活断層調査からわかること 吉岡敏和 |
過去、数千年、数万年という長い間隔で繰り返してきた活断層の活動を把握するためには、地表での地質学的な調査が不可欠である。しかしながら、過去すべて の断層活動が、すべての地点で地質学的に保存されているわけではない。地質学的に得られる情報から実施に発生する地震を推定するためには、地下の震源断層を含めた活動繰り返しのモデル化が必要である。 | |
14:25-14:45 |
内陸地震の物理モデルと予測 桑原保人 |
地震の発生時期と規模の予測を、現状の統計的手法から脱却し、地震発生の物理モデルに基づいてどのように行うか、その展望をのべる。研究要素は、必要な情 報の取得方法、モデル化の方法、情報のあいまいさの取り扱い方である。物理モデルによる手法を確立できれば、情報のあいまいさを小さくすることで、予測の精度を向上させることができると考えられる。 | |
14:45-15:05 |
地震発生層における地震素過程の解明 増田幸治 |
地震発生予測精度を向上させるためには、地震発生シミュレーションの基礎となる地質モデルや物理モデルの質を向上させる必要がある。大地震の震源は数km 以深の地下深部にあるので、そのような実際に地震が発生する場所での、圧力や温度といった環境条件における岩石の変形様式を解明することが必要である。 | |
15:05-15:15 |
ポスター概要 粟田泰夫 |
15:15-16:00 | 休憩・ポスター説明 (ポスター発表者) |
16:00-16:20 |
沿岸の地形・地質調査から連動型巨大地震を予測する 宍倉正展 |
2004年スマトラ島沖地震のような巨大地震が、日本列島周辺でも過去に起こっていたことが沿岸の地形や津波堆積物、生物化石の証拠から明らかになってき た。本講演ではこれらの知見を紹介するとともに、震源断層のモデリングや地殻変動サイクルの解明などに基づいた連動型巨大地震の規模予測や切迫度評価への展望を述べる。 | |
16:20-16:40 |
地下水等総合観測による東海・東南海・南海地震予測 小泉尚嗣 |
東海・東南海・南海地震はマグニチュード8クラスの巨大地震であり、今世紀前半に発生する可能性が高い。同地震の予測精度を向上させるために、我々 は、2006年度から多機能の地下水等総合観測点の整備を開始し、2008年度末までに12点の整備を終えた。本講演では同観測施設の目的と現在までに得られている結果について紹介する. | |
16:40-17:00 |
地表変形の評価と地震動の予測精度向上に向けて 堀川晴央 |
地震動や地表断層変位の予測や評価にあたっては、観測データや物理的知見に基づいて震源や媒質をモデル化することが重要である。本講演では、これまで進めてきた地震被害予測に関する研究の成果を紹介するとともに、今後について論じる。 | |
17:00-17:30 |
総合討論 粟田泰夫 |
17:30-17:35 |
まとめ、あいさつ 佃 栄吉 (研究コーディネータ) |
17:35 閉会 | 粟田泰夫 |