2007年能登半島地震
能登半島の地質
2007年4月3日
地質調査総合センター
20万分の1日本シームレス地質図と能登半島沖海底地質図
20万分の1日本シームレス地質図
(オリジナル:北陸地方土木地質図)
20万分の1能登半島西方海底地質図(印刷中)
気象庁一元化震源(2007/03/25)
能登半島がどのような歴史を経てできあがったか、そして今どんな状態にあるのか、地質図から次のようなことが読み取れます。
日本列島は、もともとユーラシア大陸の一部でした。約 2000〜1500万年前にユーラシア大陸の東端が裂けて、日本列島が分離し、今の位置まで移動しました。その裂け目が広がって日本海になりました。移動してきた大陸のかけらが能登半島内に部分的に露出する花崗岩(No.133、2億年前後)や片麻岩で、大陸が裂け始める時に噴出した溶岩がNo.104です。
この日本海ができる過程で日本列島側にはたくさんのリフト*ができました。そのリフトを埋めた地層がNo.008の堆積岩類です。その後、能登半島の大部分は海の中にありNo. 006, 007で示される堆積岩類が堆積しました。
約1000〜500万年前に南北方向に圧縮される大きな地殻変動があり、能登半島の北縁や周辺に東西方向の断層や褶曲が形成され、半島の北部が広く隆起しました。
No.006の地層がたまった後の約200万年前以降、東西方向の圧縮によって南北から北東―南西方向の断層や褶曲が形成されるとともに能登半島の中部が隆起しました。
今回の地震は、200万年前以降に形成された海底の断層の一つ(矢印:北東−南西方向で南東傾斜の逆断層)が活動して発生したようです。この断層の北東側延長には,陸上で知られていた古い断層がありますが,活断層とは考えられていませんでした。
地質図上では、余震はこの海底の断層(矢印)の南側で発生し,その深さは南東側へ行くほど深くなる傾向があります。これは、余震が南東傾斜の逆断層の断層面に沿って起きているためと考えられます。
*リフト:地殻が引き延ばされて沈降した窪地のこと。この付近では溝のような構造を持っている。
※No.006, 007などの番号は陸上の地質図上に示してあります
文責:
- 地質情報研究部門 渡邊真人
- 活断層研究センター 岡村行信
- 地質調査情報センター 斎藤 眞
図作成:
- 地質調査情報センター 宝田晋治
- 地質調査情報センター 宮崎純一
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