令和3年(2021年)10月7日に千葉県北西部で発生した地震の関連情報



令和3年(2021年)10月7日に千葉県北西部で発生した地震の関連情報

2021年 10月11日 開設

 2021年10月7日22時41分に千葉県北西部の深さ約75kmでマグニチュード5.9(気象庁暫定値)の地震が発生しました。発震機構は、東西方向に圧力軸を持つ逆断層型です。今回の地震で、埼玉県及び東京都では最大震度5強を観測し、被害が生じました。また、千葉県及び東京都では、長周期地震動階級2を観測しました(地震調査研究推進本部地震調査委員会、2021)。
 産業技術総合研究所地質調査総合センターでは、ボーリングデータ等をもとに都市域の地層の分布を3次元解析することによって作成した、都市域の地質地盤(https://gbank.gsj.jp/urbangeol/)を公開しています。ここでは、東京都区部から埼玉県南東部の地質と震度分布について簡単に紹介します。

 関東地方の南部には、更新世以降の堆積物が広く分布し、関東平野を形づくっています(図1)。今回の地震では、震度5強あるいは震度5弱の揺れを観測した地点が東京都北東部(足立区)から埼玉県南東部(埼玉県川口市、三郷市など)にかけての地域に多くみられました。これらの地域は地下に軟弱な沖積層が分布する沖積低地(東京低地、中川低地、荒川低地)に位置しています。詳しくみると、震度が大きかったのは沖積層が厚い埋没谷の軸部ではなく、沖積層がやや薄い(図2の薄橙色から黄色のエリア;層厚10〜40 m程度)埋没谷縁辺部でした。一方、より震央に近い東京都南東部の墨田区や江戸川区の低地では、同じような沖積層の層厚をもつ地域でも震度4を観測しています。以上より、東京都北東部から埼玉県南東部の地域で震度5強あるいは震度5弱の揺れを観測したのは、沖積層の分布だけでなく、より深い地質構造や震源特性を反映している可能性が考えられます。

図1 関東地方南部の地質図(基図は、20万分の1シームレス地質図®を使用)図1 関東地方南部の地質図(基図は、20万分の1シームレス地質図®を使用)
図2の範囲に分布する地質のみ矢印にて凡例を示した。その他の地質図の凡例は省略した。2021年10月7日の地震(M5.9)のメカニズム解は、気象庁によるメカニズム解である。

東京低地から中川低地、荒川低地にかけての沖積層の基底(埋没谷地形)と震度分布。図2 東京低地から中川低地、荒川低地にかけての沖積層の基底(埋没谷地形)と震度分布。
沖積層の基底は、東京都区部は産総研地質調査総合センター・東京都土木技術支援・人材育成センター(2021)、埼玉県内は小松原(2014)のデータに基づく。
震度分布は気象庁の2021年10月7日22時50分発表震源・震度情報2報に基づく。

引用文献

地震調査研究推進本部地震調査委員会(2021)2021年10月7日千葉県北西部の地震の評価.
https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2021/20211007_nwchiba_1.pdf
小松原純子(2014)荒川低地・中川低地・東京低地北部における沖積層の基盤地形.特殊地質図 No. 40,51–55.産総研地質調査総合センター.
産総研地質調査総合センター・東京都土木技術支援・人材育成センター(2021)都市域の地質地盤図「東京都区部」.https://gbank.gsj.jp/urbangeol/ja/map_tokyo/index.html

問い合わせ先

産総研地質調査総合センター