熊本地震による地下水資源への影響について
2016年4月26日 作成
町田 功・小野昌彦・丸井敦尚
地圏資源環境研究部門
熊本市やその周辺の市町村の地下には、第1帯水層(浅層)と、第2帯水層(深層)という主に2つの帯水層が存在します。例えば江津湖周辺では、第1帯水層の基底面は標高-20m付近、第2帯水層の基底面は-200m付近(図1参照)にあります。そのうち、地下水資源として重要なのは第2帯水層の地下水です。
従来の研究により、第2帯水層の地下水の主な涵養域(地表から水が浸透して第2帯水層に入っていく地域)は白川中流域であることがわかっています(図2の“涵養域”と描かれている領域)。第2帯水層内の地下水位の分布図によると、涵養域である白川中流域から概ね南西に向かう地下水の流れが生じていることがわかります(図2の矢印)。地表まで到達している断層は熊本市街地の南に位置していますので、熊本地域全体の地下水資源に劇的な変化が生じるとは考えにくい状況です。ただし、地震による地殻の伸縮や強い地震動によって、一時的な地下水位の変化や地下水の濁りが観測されることもあり、今後も注意深い観測が必要です。
なお、下記の図は水文環境図No.7「熊本地域」に収録されており、原図は熊本県・熊本市(1995)より引用しています。
図1 第2帯水層の基底面分布図
地下水資源を胚胎している帯水層(地下水の容れものとなる地質)の下面深度です。帯水層の深度は場所によって大きく異なります。
断層の位置は熊本県・熊本市(1995)によります。
図2 第2帯水層の地下水位等高線図
帯水層内の地下水の水位分布(水圧分布のイメージ)です。
地下水は等高線に直交する方向に、水位の高いほうから低いほうへと流れます。
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