海陸シームレス地質情報集S-4「石狩低地帯南部沿岸域」の紹介

2018年9月7日

 最近の海域調査の結果によると、石狩低地東縁断層帯は海域へも海岸から40 km以上連続している可能性が高い(図1、2)。断層帯は逆断層が厚い堆積物中に発達するため、地表付近では断層は伏在し、撓曲帯や活褶曲が発達する。特に南部では支笏湖の火砕流堆積物に覆われ、褶曲や撓曲帯の分布が複雑でわかりにくくになっている(図3)。反射探査などによって明らかにされた地下構造は、多くの褶曲が低角逆断層の上盤に発達することを示しており、断層帯全体が低角で東側に連続すると考えられている(図4)。

参考文献

海陸シームレス地質情報集S-4「石狩低地帯南部沿岸域」、地質調査総合センター、産業技術総合研究所、https://www.gsj.jp/researches/project/coastal-geology/results/s-4.html.

図1 断層帯の全体分布(内陸及び沿岸海域の活断層調査、H29報告書より)。陸域マップは地震調査委員会(2014)、海域マップは佐藤(2014)及び辻野・井上(2012)を使用。図1 断層帯の全体分布(内陸及び沿岸海域の活断層調査、H29報告書より)。陸域マップは地震調査委員会(2014)、海域マップは佐藤(2014)及び辻野・井上(2012)を使用。

図2 海陸境界の地質図及び活断層(佐藤ほか、2014)図2 海陸境界の地質図及び活断層(佐藤ほか、2014)

図3 断層帯南部の詳細構造図(佐藤・小松原、2014)図3 断層帯南部の詳細構造図(佐藤・小松原、2014)

図4 苫小牧沖の海岸に平行な反射断面(横倉ほか、2014)図4 苫小牧沖の海岸に平行な反射断面(横倉ほか、2014)
JOGMECデータを再処理したもの。

問い合わせ先

産総研地質調査総合センター