野外調査 -露頭の謎解き-
地質調査とは、各地の崖に現れた地層や岩石を観察・記載し、いくつもの事実を結びつけて地球の歴史を推理する作業です。広い地域の調査も、ひとつの崖 (露頭) の前に立ち、そこに記録された事実を考えることから始まります。
野外ではそこに見られる石や地層の種類、特徴、前後関係、続いてゆく方向など、多くの事実を観察し、その場で判断します。そのためには学問の進歩にあわせて最新の知識を学んでおくことも重要です。また、調査方法は調査地や、分布する地層の種類により変わってきます。
地層
地球の表面には、水や風に運ばれた砂礫や泥がたまります。これが地層です。地層はある程度連続しており、その続いてゆく方向や傾きが、地下水の流れや地盤の安定性に大きく影響します。
化石
堆積岩には化石が含まれていることがあります。化石はその地層の堆積当時の環境を知るうえで重要であるとともに、時代を知るための手がかりともなります。
火山
日本は火山国ですので、火山の石がたくさん見られます。その中でも溶岩は石が硬いので、一般に風化にも強く、各所に残っています。日本にはまた、古い時代にも多くの火山が活動していたため、古い溶岩も多く残されています。
火山灰・火砕岩
火山から放出された火山礫や火山灰は火山から離れた地域にまで広く残されています。地層に残された火山灰は、同じ時間を示す指標として地質を調べる上で重要な役目を果たします。
貫入岩
火山岩の分布地域では、地表に達しなかったマグマが地下で固まり、貫入岩となります。火山が侵食・削剥されると、もともとは地下に隠れていたこれらの岩体か地表に現れます。
深成岩
火山が更に侵食・削剥されると、火山体の深部にあったマグマだまりまでも地表に現れることになります。深成岩と呼ばれる岩石がそれにあたり、地下でゆっくり冷えたために結晶の粒が大きく成長しています。
変成岩
日本は世界の中でも変動帯に位置していますので、地下深くでは変成作用が進行しています。地下深くでできた変成岩も長い年月に及ぶ地殻変動の結果、地表に現れ、日本の各地で観察されます。
トレンチ
地表数 mまでの地層を観察するために、地面を掘り起こすこともあります。これをトレンチ調査といいます。
ボーリング
地下深い場所の地質を直接知るためには、機械を使って岩盤に穴を掘り、パイプを通して試料を採取します。これをボーリングといいます。
更に多くの野外調査の例や地質の産状が 絵で見る地球科学 のページ にあります。ぜひのぞいてみてください。
野外調査は体力が必要なのはもちろんですが、大切なのは観察する能力です。何気ない露頭でも、注意して見てみましょう。新しい発見が、そこに待っているかも知れません。