地質調査所月報 Vol.51 No.8 (2000)
表紙
柳津西山地熱発電所
会津盆地の南西縁、福島県柳津町西山地区に位置する奥会津地熱系は、主として中新統滝沢川層中に発達する解放割れ目中に地熱流体を胚胎する、裂か規制タイプの地熱系である。地熱流体の最高実測温度は340℃以上、全容存成分濃度は約2wt%、CO2濃度は約1wt%、H2S濃度は約200mg/kgであり、高温・高塩濃度・高ガス濃度の特徴をもつ。地熱系の上部は約30万年前形成の砂子原カルデラを埋積する砂子原層に覆われる。奥会津地熱(株)による探査・開発により1995年に完成した柳津西山地熱発電所 (写真) は、国内最高の単機発電量65000kwを誇る。貯留層深度の母岩は、中新世と現在の地熱活動の変質を重複して被っており、両者の識別には注意を要する。それに対し、地熱系上部に分布する砂子原層に見られる変質は、約30万年以降から現在に至る地熱活動によってもたらされたことが明らかであり、同地熱系の活動の実態を知る上で貴重な情報を与えてくれる。
(写真提供 : 資源エネルギー地質部 関 陽児)
目次
タイトル | 著者 | |
---|---|---|
奥会津地熱地域・更新統砂子原層にみられる変質-現在の地熱活動による湖成堆積物の変質- | 関 陽児 (329-367) | 51-08_01.pdf (15,536KB) |
短報 | ||
伊豆半島西部、宇久須地域の酸性変質作用のK-Ar年代 | 濱崎聡志 (369-372) | 51-08_02.pdf (474KB) |
第268回 地質調査所研究発表会講演要旨 特集:首都圏におけるMTL活断層系をめぐる調査の現状と今後の強振動予測への展望 |
||
深谷断層系=東日本の中央構造線活断層系モデル | 杉山雄一 (373-376) | 51-08_03.pdf (509KB) |
平成10・11年度地震関係基礎調査交付金関東平野北西縁断層帯(深谷断層)に関する調査の成果報告 | 小沢きよみ (373-376) | |
関東平野北西部の活断層と地下構造について | 山口和雄 (373-376) | |
埼玉県比企丘陵・中央構造線における深部地下構造探査-バイブロサイス反射法・屈折法組み合わせ探査の試み- | 井川 猛・川中 卓・小沢岳史 (373-376) | |
重力からみた平野部の基盤構造 | 駒澤正夫 (373-376) | |
地下構造と強震動シミュレーション | 久田嘉章 (373-376) | |
関東平野の基盤構造と強震動の伝播 | 纐纈一起 (373-376) | |
P-S変換波を利用したS波探査の優位性について | 加野直巳・横倉隆伸 (373-376) |