GSJ 地質ニュース
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四国南西端,足摺岬周辺の海食崖とラパキビ花崗岩
足摺岬は四国南西端に位置し,黒潮の打ち寄せる太平洋に突き出した特異な景観を示している.灯台の立地する海成段丘上には,ツバキ等の約500種類の亜熱帯植物が群生している.一方,足摺岬を構成する基盤岩は中期中新世(1300万年前)に貫入したカリ長石に富む花崗岩類からなる.岬の勇壮な景観は,地震隆起した花崗岩類が波浪によって削られて,大規模な海食崖が形成されることによって生みだされた.花崗岩類の一部は,カリ長石が斜長石によって周囲が取り囲まれた特徴的な組織を持つ.これらはラパキビ花崗岩と呼ばれ,フィンランドなどの楯状地に分布する原生代の花崗岩に特徴的とされ,足摺岬のように若い年代を示すものは世界的に稀である.
(写真・文:七山 太
産総研地質調査総合センター 地質情報研究部門)
目次
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頁 | タイトル / 著者 | |
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表紙・目次・裏表紙 | 四国南西端,足摺岬周辺の海食崖とラパキビ花崗岩 / 七山 太 | 1.2MB |
p.173-178 | 国際深海科学掘削計画(IODP) 第386 次研究航海「日本海溝地震履歴研究」とその試料採取航海 / 池原 研・Michael Strasser・Jeremy D. Everest・前田玲奈・Expedition 386 サイエンスパーティー | 2.6MB |
p.179-193 | 地質標本館での日本人名由来鉱物の展示 / 佐脇貴幸 | 8MB |
p.194-197 | 琉球列島におけるヤシガニは人為的影響を受けているか?−集団解析によるアプローチから− / 頼末武史・井口 亮・安田仁奈・藤田喜久 | 1.3MB |
p.198-204 | 絶対重力計測の現場から,石岡編 / 杉原光彦 | 1.3MB |
p.205-206 | 新人紹介(吉澤和子・前田 歩・水山 克) | 4.2MB |