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上部鮮新統大年寺層の砂岩層中に刻まれた大悲山の石仏

上部鮮新統大年寺層の砂岩層中に刻まれた大悲山の石仏  大悲(だいひ)(ざん)の石仏は,福島県南相馬市の大悲山中腹の岩窟に所在する3箇所の石仏群の総称である.このうち薬師堂石仏は,幅15m,高さ5.5m の空間に8体もの菩薩像や如来像が彫り出され,現在でもそれらの保存状態は良好である.これらの石仏群は東北地方において最大かつ最古のものであるが,平安時代前期に造立されたこと以外の由来は不明である.大悲山周辺の地層は,後期鮮新世の海成層である仙台層群大年寺層からなり,特に,石仏群が彫られた層準は,共通して生物擾乱の著しい内側陸棚相の細粒砂岩層からなる.この地層が石材として加工しやすいと判断されたため,この地に石仏群が建立されたと推察される.

(写真・文:七山  太
産総研地質調査総合センター 地質情報研究部門)

目次

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タイトル / 著者PDF
表紙・目次・裏表紙 上部鮮新統大年寺層の砂岩層中に刻まれた大悲山の石仏 / 七山  太 853KB
p.207-213 5万分の1地質図幅「池田」の出版:世界第一級の大断層「中央構造線」が走る“阿波池田”地域の地質 / 野田 篤・宮崎一博・水野清秀・長田充弘 3.5MB
p.214-217 四国地域における表層土壌中有害金属類のリスク評価と評価基本図の公開 / 原 淳子・川辺能成 1MB
p.218-220 鳴石:猿が運んだチャート巨礫 / 伊藤 剛 1.5MB
p.221-224 2021 年度第1 回地質調査研修(地質図作成未経験者向け)実施報告 / 利光誠一・柳沢幸夫・後藤宏樹 1.1MB
p.225-232 J.J.ライン著「1896年6月15日の釜石海面変動」邦訳 / 山田直利・矢島道子 2.3MB
p.233-234 書籍紹介 Geological Records of Tsunamis and Other Extreme Waves 274KB