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地質調査研究報告 Vol.73 No.3(2022)
表紙
3D海底地形図で見る北西太平洋の海山群
アメリカ海洋大気庁国立環境情報センター(NOAA NCEI)が公開している海底地形図(ETOPO1)を用い,北西向き,高さ10 倍強調で作成した.図の右側から,マーカス・ウェーク海山群,マーシャル諸島海山群,マゼラン海山群が連なる.これらの海山の多くは,白亜紀のホットスポット火山活動で噴出した玄武岩を基盤とする巨大な平頂海山(ギヨー)である.露岩域には最大で10 cm を超える厚いマンガン酸化物が分布し,コバルトリッチクラストの有望海域とされている.現在この海域には,日本,中国,韓国,ロシアが鉱区を保有し,国際海底機構の下で,開発に向けた資源量調査や環境影響評価が進められている.
(図:日野ひかり(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構),文:山岡香子)
目次
全ページ PDF : 73_03_full.pdf [12MB]
タイトル | 著者 | |
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概報 | ||
Late Triassic radiolarians and conodonts from a chert pebble within the Lower Pleistocene Higashihigasa Formation of the Kazusa Group, Boso Peninsula, Japan | ITO Tsuyoshi, MUTO Shun and UTSUNOMIYA Masayuki | 73_03_01.pdf [10MB] |
Chemical compositions and ages of basalts from seamounts in the Northwest Pacific | YAMAOKA Kyoko, ISHIZUKA Osamu, MOROZUMI Haruhisa and HINO Hikari | 73_03_02.pdf[4MB] |
埼玉県岩殿丘陵西縁部から採取された砂質シルト岩試料の珪藻化石年代 | 納谷友規 | 73_03_03.pdf [1.5MB] |
要旨集
房総半島,上総層群の下部更新統東日笠層のチャート礫から産出した後期三畳紀放散虫及びコノドント
伊藤 剛・武藤 俊・宇都宮正志
房総半島の上総層群の下部更新統東日笠層に挟在する礫岩中のチャート礫から,放散虫及びコノドントが産出した.放散虫(Praemesosaturnalis sp. cf. P. heilongjiangensis)とコノドント(Mockina sp.)の同定に基づくと,このチャート礫は後期三畳紀(中期~後期ノーリアン期)の年代を示す.本チャート礫は当時後背地に分布していたジュラ紀付加体に由来すると考えられる.
北西太平洋における海山基盤玄武岩の化学組成及び生成年代
山岡香子・石塚 治・両角春寿・日野ひかり
北西太平洋海域におけるコバルトリッチクラスト鉱床の探査の一環として,海山基盤玄武岩が採取され,全岩化学組成分析及びK–Ar/Ar–Ar 法年代測定が実施された.海山基盤玄武岩は変質やリン酸塩化の影響を受けて初生的な化学組成の保存が良くないものの,試料が採取された20 海山は全て典型的な海洋島アルカリ玄武岩の特徴を示した.生成年代については,K–Ar 法年代測定では変質の影響により信頼できる年代値が得られなかったが,Ar–Ar 法年代測定ではいくつかの海山から信頼性の高いプラトー年代が得られた.マーカス・ウェーク海山群に属する海山からは67 ~ 116 Ma,マゼラン海山群に属する海山からは87 Ma 及び105 Ma,マーシャル諸島海山群に属する海山からは90 Ma の生成年代が得られ,概ね先行研究で報告されている年代と一致した.
埼玉県岩殿丘陵西縁部から採取された砂質シルト岩試料の珪藻化石年代
納谷友規
岩殿丘陵西縁部の帰属不明の砂質シルト岩試料の堆積年代を明らかにするために,珪藻化石分析を行った.分析した試料からは,珪藻化石帯NPD4A帯(Denticulopsis lauta帯)を特徴づける珪藻化石が産出するため,年代は中期中新世前期と判断される.また,Cavitatus lanceolatusを産することから,本試料の年代は生層準D41.5(Cv. lanceolatusの初産出:15.6 Ma)– D43.2(Cv. lanceolatusの終産出:15.2 Ma)の区間に限定される.珪藻化石層序に基づくと,本試料は比企層群荒川層の上部か市ノ川層に対比される.
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