この動植物に注意
地質調査で山野を歩くことは、一見、山登りみたいなものと思えるかもしれませんが、普段ほとんど人の立ち入らない場所に行くことも多く、より注意と集中力が必要になります。
要注意動物
国内で見かける野生の大型動物といえば、熊、猿、猪、鹿、カモシカ などでしょうか。このうち、まず注意するのは熊でしょう。毎年、山菜やキノコのシーズンには山に入った人が被害にあうニュースも聞かれます。「ハンマー (=武器) を持っているから」などと思わないこと。成長した熊の体力は、人間の体力よりも明らかに上回っていますから、ともあれ熊には遭わないようにするのがいちばんです。
熊は音に敏感ということで、意図的に石をたたいて音を立てたりもします。登山などでもそうでしょうが、地質調査では熊除けの鈴 (カウベル) がもっとも一般的です。小型の鈴では沢や風の強い日に効果が落ちると思われます。熊除けの爆竹は更に効果があるといわれています。ラジオを携帯する人もいますが、沢沿いに弱いこともあってどちらかといえば少数派です。また、ホイッスルもよく使われます。
鹿、カモシカはあまり人に向かってきたという話は聞きませんが、猿はときに危害を与えることもあります。近年は、人里近くでもよく作物を狙って群れで現れる傾向にありますから、思わぬところで遭遇することがあるかも知れません。猪も大型であるうえ鋭い牙をもっています。状況によっては人間にも攻撃的になりますから、要注意です。
野生動物の事故で多いのが、ハチやヘビの仲間 です。どちらも気温の高い夏の時期を中心に活動が活発になりますが、ちょうど草木が茂って見通しの悪くなる時期ですので要注意です。人体に重大な危害を与えかねないのは主にマムシ、ハブ、ヤマカガシとスズメバチでしょう。状況に十分注意すると共に、少なくとも足首や頭への備えは怠らないようにしましょう。
虫の仲間では アブ や ブヨ、ヤマダニ、ヒル も厄介者です。この仲間は、ごく限られた範囲に密集して生息していることがあり、地元の人の間で「ヒル沢」などと呼ばれていることもあります。細かい地理に詳しい人に情報をもらうのも対策のひとつです。ただ、年や季節によって発生数に違いが大きいのも確かですね。
要注意植物
植物の中には皮膚に炎症を起こさせるものがあります。ウルシ に代表される仲間がよく知られていますが、薮こぎのときなどには注意が必要です (炎症の程度は個人差があります)。
また、竹や笹の切り株 は意外なほど鋭利なものです。刈り払い直後の場所などにも気をつけましょう。