地質調査総合センター研究資料集、 no. 584

地質標本館特別展「地球の恵み 地熱・地中熱エネルギーを活用しよう」

石戸 恒雄・唐澤 廣和・水垣 桂子・大熊 茂雄・阪口 圭一・佐脇 貴幸・
杉原 光彦・高倉 伸一・内田 洋平・柳澤 教雄・安川 香澄・吉岡 真弓

内容紹介:

 地下の熱エネルギーを活用する地熱発電は世界の火山国を中心に導入が進んでいます。火山国である日本は、地熱ポテンシャルが世界第3位であり、約50万キロワットの発電がされていますが、1999年以後地熱発電所は新設されていません。地熱発電は、熱エネルギーが半永久的に自給可能で、CO2排出がきわめて少なく安定した電力供給が可能という長所がありますが、一方で有望地域が国立公園や温泉地域内であることや多大な初期投資が必要などの課題が大きく、開発が進展しませんでした。しかし、2011年の東日本大震災に伴う原発事故により、再生可能エネルギーとして地熱発電が再注目され、公園内での規制の緩和、買い取り価格制度の導入などの開発条件が整いつつあります。
 また、地熱エネルギーの温度幅は広く、様々な利用方法があります。地表に近く年間を通して温度が一定な地層を利用し、節電効果の大きい地中熱利用型の冷暖房がアメリカ、ヨーロッパなどで急速に普及しています。日本でも近年注目され、今回、地質標本館にも地中熱利用設備が導入されることになりました。
 地熱発電、地中熱利用ともに今後の発展・普及が期待されていますが、そのためには様々な問題を克服する必要があります。
 今回の特別展では、特に技術的な観点から、地熱資源の探査・開発法や発電などの利用法、地中熱利用について紹介します。

 この資料は、地質標本館特別展「地球の恵み 地熱・地中熱エネルギーを活用しよう」(2013年7月17日~9月29日)の展示ポスターと解説をまとめたものです。

受理日:2013年7月16日

引用例:

石戸 恒雄・唐澤 廣和・水垣 桂子・大熊 茂雄・阪口 圭一・佐脇 貴幸・杉原 光彦・高倉 伸一・内田 洋平・柳澤 教雄・安川 香澄・吉岡 真弓 (2013) 地質標本館特別展「地球の恵み 地熱・地中熱エネルギーを活用しよう」.地質調査総合センター研究資料集、no.584、産業技術総合研究所地質調査総合センター