地質調査所研究資料集、 no. 326
野島断層掘削コアを用いた断層プロファイルの解析
The analysis of fault profile by Nojima Fault drilling core
冨田直人・田中秀実・樋口孝幸・伊藤久男・藤本光一郎・大谷具幸
N. Tomida, H. Tanaka, T. Higuchi, H. Ito, K. Fujimoto, T. Ohtani
内容紹介:
1995年1月17日マグニチュード7.2の兵庫県南部地震が発生し、神戸市の南部と淡路島の北部で大きな被害を生じた。この地震によって地震断層が野島 断層に沿って形成された。淡路島北西部の野島平林において、活断層掘削が地質調査所の伊藤久男博士により行われ、深度624mにおいて野島断層を貫くこと に成功した。
私たちはボーリングコアを固化し、半割りを行い、その切断面を研磨した。この研究の目的は (1)6つの剪断帯におけて断層岩を詳細に区分し地質柱状図を作成すること、 (2)それらの変形様式および変質様式を解析することである。
6つの剪断帯が大局的に存在し、私たちはそれらをMSZ、USZ、LSZ-1、LSZ-2、CZ-1、CZ-2と名付けた。MSZはもっとも厚い破砕帯 を伴うので、野島地震断層の中軸帯に相当すると考えられる。MSZは変形・変質ともに進行する傾向がある。USZは断層角礫帯と弱変形変質花崗閃緑岩と伴 う。LSZ-1は断層角礫帯と褐色脈を含む弱変形変質花崗閃緑岩からなる。LSZ-2は変質岩からなる。USZ、LSZ-1、LSZ-2は変形よりも変質 が進行する傾向がある。CZ-1は葉片状カタクレーサイトからなる。CZ-2は塊状カタクレーサイトからなる。CZ-1とCZ-2はほとんど変質作用を被っていない。CZ-1とCZ-2は変質よりも変形が進行する傾向がある。
頁数:53
受理日:1998年6月18日
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引用例:
冨田直人・田中秀実・樋口孝幸・伊藤久男・藤本光一郎・大谷具幸(1998) 野島断層掘削コアを用いた断層プロファイルの解析, 地質調査所研究資料集, no. 326, 地質調査所.