地質調査所研究資料集、 no. 325

兵庫南部沖地震の地震断層 (野島断層) ボーリングコアの変形 - 変質過程
Mode of deformation and hydrothermal alteration of the drilling cores from the Nojima earthquake fault

樋口孝幸・田中秀実・伊藤久男・藤本光一郎・大谷具幸
T. Higuchi, H. Tanaka, H. Ito, K. Fujimoto, T. Ohtani

内容紹介:

1995年1月17日、マグニチュード7.2の兵庫県南部地震が発生した。 この地震によって長さ17kmの地震断層が野島断層に沿って形成された。 兵庫県淡路島の野島平林において、地質調査所は野島断層の孔井掘削を行い、 野島断層の主剪断帯を貫くことに成功した。
私たちはボーリングコアのハーフカット面および研磨片を肉眼で観察を行い、 また化学分析を行った。 この研究の目的は (1)断層の活動史の解明、 (2)コアに沿った深度における断層岩の分布様式の解明、 (3)断層に沿った物質移動様式の解明である。
地質調査所コアに認められる主剪断帯は426mから746.6mの変質と変形を被った花崗閃緑岩と623.3mから625.1mの断層ガウジにより特徴づけられる。 断層ガウジはその上盤側のみに断層角礫をともなう。地質調査所コアの上盤側と下盤側は野島断層中軸帯(623.3m~625.1m )をはさんで非対称である。
断層破砕帯の変形史は地質調査所コアからは4つのステージに区分される。 I. 垂直なカタクレーサイト帯の形成、 II. 断層角礫帯の形成、 II". 灰黒色断層ガウジの形成、 III. 水平な剪断面の形成、 IV. 淡灰色/淡灰緑色断層ガウジ帯の形成。 IVステージは活断層のステージに対応する。
XRF分析の結果から、断層に沿って物質の移動が生じていることが推測される。 野島断層の中軸帯付近では、一部の元素( Fe2O3, MgO, TiO2, P2O5, MnO, Nb, Zr, Co, V, Sc )がコアに沿って減少する。

頁数:64

受理日:1998年6月18日

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引用例:

樋口孝幸・田中秀実・伊藤久男・藤本光一郎・大谷具幸(1998) 兵庫南部沖地震の地震断層 (野島断層) ボーリングコアの変形 - 変質過程、 地質調査所研究資料集,no. 325, 地質調査所.