地質調査研究報告 トップへ
地質調査研究報告 Vol.65 No.9/10 (2014)
表紙
御嶽火山2014年9月の噴火
南西上空より見た御嶽火山の噴煙(噴火の翌日).山頂(剣ヶ峰)南の地獄谷源頭部を中心に,北西- 南東方向に並んでいくつもの火口が形成された.噴火翌日にはほとんどが火山灰を含まない白色噴煙だが,右端の火口(最も南東側)からは火山灰混じりの灰色がかった噴煙が上がっている.奥のピークが剣ヶ峰(標高3,027m).噴煙の手前側は9月27日に発生した火砕流の堆積物で灰色となっている.読売新聞社ヘリより,2014年9月28日16時04分撮影.
(写真・文:中野 俊)
目次
全ページ PDF : 65_09_full.pdf [7MB]
タイトル | 著者 | |
---|---|---|
概報 | ||
三重県中部,片上川の高位段丘堆積物 | 植木岳雪 | 65_09_01.pdf [950KB] |
新たに認定された第四紀火山の放射年代:奈良俣カルデラ | 山元孝広 | 65_09_02.pdf [1.4MB] | 御嶽火山2014 年9 月27 日噴火で発生した火砕流 | 山元孝広 | 65_09_03.pdf [9.3MB] |
要旨集
三重県中部,片上川の高位段丘堆積物
植木岳雪
三重県中部,片上川流域には低位段丘堆積物は分布せず,高位段丘堆積物のみが分布する.高位段丘堆積物は風化が進んだ角~亜角礫からなり,その古地磁気極性は正の可能性が高い.その場合,高位段丘堆積物の年代は中期更新世以前であり,その成因として深層崩壊による堆積物の可能性がある.
新たに認定された第四紀火山の放射年代:奈良俣カルデラ
山元孝広
群馬県北東部の奈良俣カルデラは,第四紀下限の年代が改正されたことにより,新たに追加された第四紀火山の一つである.奈良俣ダム湖左岸の径約2kmの凹地を埋積した流紋岩質火砕岩とこれを覆う湖成堆積物で構成されている.火砕岩中の流紋岩軽石のジルコンからはジェラシアン期を示す2.1±0.2Maのフィッション・トラック年代値が得られた.
御嶽火山2014年9月27日噴火で発生した火砕流
山元孝広
国土交通省多治見砂防国道事務所の滝越カメラに記録された御嶽火山2014年9月27日の水蒸気噴火による火砕流は,以下の特徴を持つ.1)火砕流は,噴火開始時の11時52分頃に山頂南の地獄谷の上部斜面と山頂の西斜面の2箇所からほぼ同時に発生した.2)火砕流発生時の噴煙高度は低く,300mを大きく超えることはなかった.3)谷沿いを流れ下る火砕流先端部の速度は8~20m/sで,地獄谷沿いには火口から約2km流下した.4)斜面を流れ下った火砕流からは顕著な二次噴煙が上昇したが,このことは火砕流がある程度の熱量を持つ流れであったことを示唆しており,灰雲が大気と混合して浮力を得たものと理解できる.5)しかし,火砕流が通過した領域では樹木の損傷や火災,炭化は認められず,火砕流自体は樹木を焦がすほどの温度ではなかったと推定される.エナジーコーンモデルによる火砕流到達域の数値計算では,噴煙柱崩壊高度を200mとして,見かけの動摩擦係数が0.45~0.55とすると到達域との一致が良い.
- お知らせ(出版物)
- 地質図カタログ
- 購入案内
-
地質調査研究報告
- 2024年 (Vol.75)
- 2023年 (Vol.74)
- 2022年 (Vol.73)
- 2021年 (Vol.72)
- 2020年 (Vol.71)
- 2019年 (Vol.70)
- 2018年 (Vol.69)
- 2017年 (Vol.68)
- 2016年 (Vol.67)
- 2015年 (Vol.66)
- 2014年 (Vol.65)
- 2013年 (Vol.64)
- 2012年 (Vol.63)
- 2011年 (Vol.62)
- 2010年 (Vol.61)
- 2009年 (Vol.60)
- 2008年 (Vol.59)
- 2007年 (Vol.58)
- 2006年 (Vol.57)
- 2005年 (Vol.56)
- 2004年 (Vol.55)
- 2003年 (Vol.54)
- 2002年 (Vol.53)
- 2001年 (Vol.52)
- 活断層・古地震研究報告
- GSJ 地質ニュース
- CCOP-GSJ 地下水プロジェクトレポート
- GSJ技術資料集
- ビデオ・パンフレット・ポスター
- その他の出版物