平成9年度活断層調査 トップへ

濃尾平野の地下構造と養老断層

位置図

   濃尾平野西部から養老断層にかけての大深度反射法地震探査の結果、濃尾平野の地下には西縁の養老断層に向かって傾斜する構造が発達することが確認されました。養老断層を除いて、濃尾平野の地下には反射面のずれ、不連続、急激な折れ曲がりなどの断層の存在を示す構造は認められず、従来、ボーリング資料から推定されていた伏在活断層 (大薮-津島線 と 大垣-今尾線) は存在しないと考えられます。
   この地下断面から、濃尾平野の傾動速度は最近100万年間を通じて約1.0×10-4/千年でほぼ一定と推定されました。この傾動速度は養老断層の平均活動間隔が1,000〜2,000年程度である可能性を示唆します。また、養老断層の最近100万年間の平均上下変位速度は約2m/千年と見積もられました。さらに、岐阜県南濃町における地下水観測井の掘削に際して得られたボーリングコアの分析結果から、養老断層の最新活動時期は2,000〜3,000年前以降と考えられ、濃尾平野に大きな被害を与えた1586年の天正地震の際に活動した可能性が明らかになりました (次の桑名断層の結果参照)。


濃尾平野西部〜養老断層の東西反射断面。

濃尾平野西部〜養老断層の東西反射断面

第3図  東西測線の反射断面 (深度変換断層)  水平 : 鉛直 = 1 : 1
Fig.3 Depth-converted reflection profile of the E-W survey line.


濃尾平野西部〜養老断層の反射断面の解釈図。

濃尾平野西部〜養老断層の反射断面の解釈図

第6図  反射断面解釈図
Fig.6 An interpretation of the E-W seismic refrection profile.