活断層・古地震研究報告 第4号 トップへ
境峠-神谷断層帯、境峠断層の長野県奈川村における活動履歴調査
吉岡敏和・細矢卓志・橋本智雄
長野県西部に位置する境峠・神谷断層帯の北部にあたる南安曇郡奈川村の寄合渡およびソグラ沢の2地点でトレンチ調査を実施した (第1図)。
ソグラ沢地点では、見かけ上西側隆起の正断層成分をもつ断層が、段丘堆積 物と考えられる礫層およびその上位の黒色土壌を変位させているのが観察され た (第2図)。
寄合渡地点では、見かけ上西側隆起の正断層成分をもつ断層が、礫層の上に 載る黒色土壌とそれに挟まれる黄色軽石泥流堆積物を切っており、礫層堆積後 に少なくとも2回の断層活動があったことが読みとれた (第3図)。
堆積物の年代測定結果をもとに各トレンチの壁面の解釈を総合すると、断層 の最新活動はBC 2900以降 (BC 1650以降の可能性)、AD 220以前にあり、1回前の活動はBC 5720以降 (BC 5660以降の可能性)、BC 4710以前にあったと推 定された。
第1図
境峠断層とその周辺の活断層。1/50万活構造図「金沢」(加藤・杉山、1985) の一部分に断層線を加筆。
第2図
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SA および SB トレンチのスケッチ。
第3図
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YA および YB トレンチのスケッチ。