活断層・古地震研究報告 第3号 トップへ
北アナトリア断層系・1944年Bolu-Gerede地震断層の分布形状と変位量
近藤久雄・粟田泰夫・Omer Emre・Ahmet Dogan・Selim Ozalp・
Fatma Tokay・Cengiz Yildirim・奥村晃史・吉岡敏和
トルコ・北アナトリア断層系の1944年Bolu-Gerede地震であらわれた長さ180kmの地震断層について、1970年代に撮影された空中写真の判読と、変動地形の調査および地元住民からの聞き取りによる再調査を実施した。1944年地震断層は5つの形状セグメントあるいは活動セグメント、すなわちBolu、Yenica、Gerede、IsmetpasaおよびBayramorenセグメントに区分され、各セグメントの長さは21-46km、右ずれ変位量は平均1.9-4.3mであった。これらのセグメント間の境界は、幅1-2kmのオフセットやギャップあるいは屈曲などの不連続構造によって特徴づけられる。さらに個々のセグメントは、断層線のわずかな不連続構造や変位量の分布に基づいて、長さ数km-14kmのセクションに細分される。歴史記録に基づくと、1944年地震で活動した5つのセグメントは、967-1035年に発生した一連の地震では2つの地震セグメントに分かれて活動し、また1668年地震では長さ数100kmの長大な地震断層の一部として活動したと推定できる。Geredeセグメントでは、これらの歴史地震において同セグメントを含む地震断層の長さが地震サイクル毎に大きく変化したにもかかわらず、1944年地震の2-4倍となる整数倍の累積変位量が変動地形から計測できた。