活断層・古地震研究報告 第3号 トップへ
長町-利府線断層帯・岩切地区における最新活動時期の検討 (速報)
粟田泰夫・斉藤 勝・松浦一樹
政令指定都市である仙台市の市街地を横切る長町-利府線断層帯について、地震調査研究推進本部地震調査委員会は、同断層帯から発生する地震の規模と発生確率を評価している。しかし同委員会は、地震の長期評価に関する今後の課題として、最新の活動時期と断層セグメントについてより信頼できるデータが必要であると述べている。これを受けて、断層の最新活動時期とセグメント区分に関する調査研究を実施した。その結果、地形調査とボーリング調査などから、市街地北東方の七北田川の氾濫原では1.0-2.1mの上下変位を伴う最新活動が2230±60yBP (BC 380-200年) より後に起こったことが推定できた。このことは、長さ17-28kmの狭義の長町-利府線断層帯が単一の活動セグメントを構成していることを支持する。
第1図
第1図. 長町-利府線断層帯のセグメント区分と最新活動に関する調査地域 (Fig. 2の範囲) 位置図。断層の分布は池田ほか編 (2002) を、段丘の分布は中田ほか (1976) および北村ほか (1986) を改変した。
Fig. 1. Segmentation of the Nagamchi-Rifu Line fault zone and location of the study area shown in Fig. 2. Locations of active faults are modified from Ikeda et al. (2002). Distribution of terrace surfaces are modified from Nakata et al. (1976) and Kitamura et al. (1986).
第2図
第2図. 岩切地区における七北田川沿いの氾濫原の変形を示す地形図。等高線は0.25m間隔。トータルステーションを用いた約1000点の測量点データから作成した。
Fig. 2. Topographic map of the study area showing tectonic deformation of the flood plain on the Nanakita-gawa River. Contour interval is 0.25 m.