活断層・古地震研究報告  第3号 トップへ

北海道東部、厚岸町史跡国泰寺跡の泥炭層中において発見された
 9層の津波砂層とその広域イベント対比

添田雄二・七山太・重野聖之・古川竜太・熊崎農夫博・堤  康夫・車塚  洋・
澤井祐紀・佐竹健治・中川  充・山田悟郎・桂川  実・赤松守雄・石井正之

北海道東部、厚岸町史跡国泰寺跡においてトレンチ調査を実施した (第1図)。その結果、過去約3000年間に堆積した泥炭層中に9層の海成イベント堆積物の存在が確認された (第2図)。今回の国泰寺トレンチで得られたイベント層序は、北海道東部太平洋沿岸域におけるイベント堆積物の層序と整合的であり、Ts2〜Ts10に対比されると判断される。10〜17世紀に生じたAs2とAs3の汀線距離を求めると、950 m以上の津波遡上が推定される。これらは1952年や1843年の十勝沖地震津波の遡上範囲を大きく上回っている。


第1図

第1図. 厚岸地域の調査地点 (A-1〜5) および調査測線図、1843年津波の推定浸水域および汐見川上流におけるTs3の分布範囲。国土地理院発刊の1:25000地形図「厚岸」を基図として使用。

Fig. 1. Study sites (A-1~5), survey line along the Shiomi-gawa River, inferred inundation area of 1843 tsunami and distribution limit around upper stream of the Shiomi-gawa River in Akkeshi Town.

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第2図

第2図. A-3地点におけるトレンチ壁面 (a)、およびAs3層準の軟X線写真 (b)。

Fig. 2. Tephra layers and tsunami sands interbedded by peat layers on the southwestern wall at A-3 trench site (a) and a radiograph of As3 layer showing graded bedding with lamina (b).