活断層・古地震研究報告  第2号 トップへ

大阪平野の3次元地盤構造モデルの作成

堀川晴央・水野清秀・佐竹健治・関口春子・加瀬祐子・
杉山雄一・横田  裕・末廣匡基・Arben Pitarka

本報告書で報告する大阪平野の地盤構造モデルは地質構造を元にしている。地質構造モデルでは、平野内あるいは平野周辺にある断層を取り入れ、地質構造の不連続を正確に表現した。得られた地質構造に対して、堆積年代と深度の函数として堆積層内のP波速度を求め、多孔媒質の理論からS波速度や密度を推定した。地盤構造モデルの検証のため、大阪平野近傍で発生した小地震 （第1図） に対する大阪平野域での観測波形を対象に、今回得られた地盤構造モデルを使って地震波をシミュレートした （第2図） ところ、大阪平野南部域での構造を見直す必要があることがわかった。

第１図

第1図. 基盤岩上面の深度分布。灰色の部分では基盤岩が露出している。☆ ： 波形計算の対象とした地震の震央、▽ ： 波形を計算した観測点。発震機構 （下半球投影） を右下に示す。

第２図

第2図. 観測波形と合成波形との比較の例。上 ： 観測波形、中 ： 3次元地盤構造モデルを使ったときの合成波形、下 ： 水平成層型の地盤構造を使ったときの合成波形。観測波形どうしが同じ振幅を持つように振幅スケールを成分ごとに調整してある。