活断層・古地震研究報告 第1号 トップへ
鳥取県西部地震の地震断層 (鳥取県)
地震発生2日後の10月8日から震源域の緊急調査を開始し、平成13年7月14日までに、交代で延べ94人・日、7次にわたる現地調査を実施した。現地調査に当たっては、人工構造物の破壊・変形が認められた場合には、その直下における地震断層の変位に起因する可能性があると判断し、水平変位量を始めとする変位ベクトルの算出に努めた (第1図)。その結果、地震に伴う斜面変動や液状化現象では説明が困難な地表面の断裂及び人工構造物の破壊・変形を複数地点で確認した。これらの地表断裂および人工構造物の破壊・変形が観察された地点は、余震域の延びの方向と調和的に、北西-南東方向に直線状に配列し、このような線状配列が本震震央の北西側約4km、南東側約2km、幅1km強の帯状の地域に5つ認められた (第2図)。地表面の断裂はN40±25°Wの走向をもち、数cm〜10数cmの左横ずれ走向隔離を伴っていた。また、左屈曲部の引張性構造や右屈曲部の圧縮性構造などの、左横ずれ変位を示唆する様々な構造が認められた (第3図)。一方、構造物の破壊・変形の解析からは、その原因と考えられる構造物直下の断層の変位ベクトルとして、N40±25°W方向への数cm〜40cmの左横ずれ変位が求められた (第4図)。このような変位の向きとセンスは、地震学的に求められた震源の破壊機構と一致する。このような観察および解析結果から、上述の地表断裂は地震断層と考えられ、人工構造物の破壊・変形はその直下の地震断層の変位によると推定される。
このような地震断層の地質学的調査と併せて、震源過程の研究 (第5図、第6図、第7図、第8図) 並びに液状化層のジオスライサー調査 (第9図、第10図、第11図) を行った。
第1図
第2図
第3図
第4図
第5図
第6図
第7図
第8図
第9図
第10図