平成10年度活断層調査 トップへ

養老断層

須貝俊彦・伏島祐一郎・粟田泰夫・吾妻  崇・苅谷愛彦・鈴木康弘 (1999)

位置図

   濃尾平野の西縁に位置する養老断層中部の南濃町羽沢地区と庭田地区において、層序ピット調査 (小規模なトレンチ) とボーリング調査を実施しました。その結果、養老断層は4,000年前以降に3回活動し、それぞれの活動に伴って、約5mに達する上下変位が生じたことが分かりました。また、最新活動は13世紀以降、その一つ前の活動は4〜9世紀に発生したことが明らかになりました (第4図)。濃尾平野一帯は、1586年の天正地震により甚大な被害を被りましたが、この地震は、養老断層の最新活動により引き起こされたと考えられます。また、一つ前の活動は745年の天平地震に当たる可能性があります。これら最近2回の養老断層の活動時期と上下変位量 (約5m) は、その南に分布する桑名断層 (平成8〜9年度に調査) の活動時期及び上下変位量と一致します。このことから、養老断層と桑名断層は、少なくとも完新世には、一つの活動セグメントとして、一緒に活動してきたと考えられます。


第4図

養老断層系(養老,桑名,四日市の各断層)の活動時期

第4図  養老断層系 (養老、桑名、四日市の各断層) の活動時期。
最新活動は1586年天正地震、その一つ前の活動は745年天平地震に対応する可能性がある。