平成10年度活断層調査 トップへ
木津川断層
苅谷愛彦・伏島祐一郎・宮地良典・水野清秀・佐竹健治・寒川 旭・井村隆介 (1999)
上野盆地の北縁を限る木津川断層の東部において、地形地質調査及び3孔のトレンチ調査などを行いました。このうち上野市東高倉のトレンチでは、室町〜安土桃山時代の遺物を包含する地層を切り、近世〜現代の耕作土または盛土に覆われる北傾斜の逆断層が出現しました (第5図)。1854年に発生した伊賀上野地震については、木津川断層の活動による可能性が従来から指摘されていましたが (例えば 大長・藤田、1982)、今回の調査により、このことが初めて地質学的に確かめられました。この最新活動に伴う上下変位量は2.2〜2.6mと計測されましたが、横ずれ変位量については、確定的なデータは得られていません。本断層については、平成11年度にも調査を行い、1回の横ずれ変位量、活動間隔など、まだ確定的な値が得られていない断層パラメーターの取得に挑戦します。
第5図
第5図 木津川断層東高倉トレンチの壁面スケッチ。
傾斜したトレンチ壁面の実スケッチを鉛直面に投影したもの。