平成10年度活断層調査 トップへ
紀淡海峡の中央構造線活断層系
七山 太・佃 栄吉・水野清秀・石井久夫・北田奈緒子・竹村恵二 (1999)
紀淡海峡を横断する中央構造線活断層系の高分解能音波探査と海上ボーリングを実施しました (第6図)。音波探査により、完新統中の2つの層準で、海底活断層による上下変位量が急変することが明らかになりました。さらに、F1 断層北側の Site 1 と南側の Site 2 で海上ボーリングを行い、採取したコアを詳細に分析した結果、2つの変位急変層準には、土石流堆積物が挟まれることがわかりました。この分析結果から、これら2つの層準を紀淡海峡の中央構造線活断層系の最近2回の活動層準と判断しました。その年代は、14C 年代データ、アカホヤ火山灰の夾在層準、花粉分析結果などを総合して作成した堆積速度変遷図 (第7図) から、約3,000 (〜5,500) 年前と約8,500〜9,000年前と求められました。また、これら2回の活動に伴う上下変位量は、最新活動時が4.0〜5.5m、その一つ前の活動の時が2.0〜4.0mと見積もられました。
第6図
第6図 和歌山沖の海底活断層 (F1及びF2) の分布と
音波探査測線及びコアリング地点位置図。
国土地理院発行2万5千分の1地形図「加太」、「淡輪」、「和歌山」を使用。
第7図
第7図 堆積速度から求めた F1 の活動時期。
Df1 と Df2 は土石流堆積物。これらの挟在層準で、F1 による上下変位量が急変することから、これら2層準が最近2回の断層活動 (Event 2とEvent 1) の層準と認定された。