平成10年度活断層調査 トップへ

活断層の地球物理学的研究

大熊茂雄・牧野雅彦 (1999)
大熊茂雄・牧野雅彦・中塚  正 (1999)

位置図

   本研究は、伏在活断層の効率的で、かつ2次元、3次元的な探査手法の開発を目的としています。平成10年度に、1948年福井地震に伴う伏在地震断層の検出と追跡を目標として、九頭竜川以北の福井平野の高分解能空中磁気探査を行いました。また、福井地震に伴う伏在地震断層群の正確な通過位置の検出と琵琶湖北西岸の柳ヶ瀬断層の南方延長の追跡を目的として、福井平野東部と琵琶湖東岸の近江盆地において、高密度重力探査を実施しました。
   高分解能空中磁気探査の結果、福井地震断層は高磁気異常域の東縁に一致することが確認されました。また、福井東側地震断層は、顕著なダイポール型磁気異常の西端に位置すると共に、弱い高極磁力異常が断層に沿って延びており、磁気異常の特徴として識別できることが分かりました。福井平野東部での高密度重力探査では、伏在断層に対応すると考えられるブーゲー異常の急激な減少、減少率の急変、局所的な高重力異常などの特徴的な変化が認められました。また、近江盆地での高密度重力探査では、柳ヶ瀬断層沿いの重力異常の急変部が虎御前山の北方まで南南東方向に追跡され、湖北町河毛付近で西にステップして、虎御前山の西側を南下することが明らかになりました。