平成10年度活断層調査 トップへ
緊急調査
1998年9月3日の岩手県内陸北部の地震 (M6.1) に伴って出現した篠崎地震断層の緊急調査を実施しました。
なお、この研究は、地震調査研究推進本部の「緊急調査」として実施したものです。
篠崎地震断層は、雫石盆地西縁断層帯西根断層の北端付近に出現し、延長約800mにわたって確認されました。断層は西側隆起の逆断層で、変位量は約40cm (上下成分20〜35cm、水平成分20〜35cm) でした。地質調査所では、篠崎地震断層の地表下数mまでの断層形態と活動の履歴を明らかにするため、地震断層上の2ヶ所でトレンチを掘削しました。その結果、西根断層は、今回の活動の前には、紀元前800年〜西暦1300年の期間に活動したことが分かりました。また、トレンチ壁面の観察結果から、この期間に、1998年の上下変位 (30cm程度) の2〜3倍に達する上下変位があったと考えられます。この上下変位については、1) この期間に今回と同程度の上下変位を伴う断層活動が2〜3回生じた、2) この期間に、今回の2〜3倍の上下変位をもつ活動が1回だけ生じた、という2通りの解釈が考えられます。
今回の調査結果だけから、どちらの考え方がより適切であるか判断することは困難です。今後、西根断層南部を含めて、より詳しい活動履歴調査を行う必要があります。