2000-2001年作成の新作地質図

5万分の1地質図幅「三津」

5万分の1地質図幅「三津」

松浦浩久

本地域は今年3月に発生した芸予地震の震央に近い広島・愛媛県境の瀬戸内海に位置しています.

本地域には丹波帯相当のジュラ紀付加体と考えられる堆積岩コンプレックス,白亜紀火山岩類及び白亜紀深成岩類が広く露出していて,古第三紀堆積岩類,中新世火山岩類及び第四系も小範囲に分布しています.

ジュラ紀付加体南部は千枚岩ないしスレート質になっていて,領家変成岩類弱変成部に相当します.

白亜紀火山岩類はデイサイト〜流紋岩火砕流堆積物と流紋岩溶岩からなります.デイサイト火砕岩のガラス質基質は風化によって赤色粘土化しています.この粘土は煉瓦の原料になり,またこれを含む土壌はジャガイモの栽培に適しています.

白亜紀深成岩類は陸上では花崗岩の分布が広くなっていますが,花崗閃緑岩は海岸に沿って分布しているので,海底には花崗閃緑岩が見かけ以上に広がっていると予想されます.海底には更新統が広く水没して分布しており,海峡の海釜からは潮流で洗い出された旧象や鹿などの化石を産しています.

また更新統から洗い出された砂は海砂採取の対象になっていましたが,生態系に影響するため広島県側では採取が中止されました.