2018年
~日本の地質調査の歴史についてのパネル展示開催~
私たちの住んでいる大地は、地層や岩石などでできています。これらの性質のことを「地質」といい、地質情報は地質図やデータベースなどにまとめられて様々な用途で活用されています。
5月10日の「地質の日」に合わせて地質情報をより身近に感じていただくため、経済産業省本館1階ロビーにおいて企画展示を行います。
「地質の日」制定から11年目の今年は、明治150年記念展示として、136年もの間、地質を調査し続け、日本の地質学を支えてきた地質調査所(GSJ、現在は産業技術総合研究所地質調査総合センター)を紹介するとともに、明治時代以降、現在までの地質図をパネル展示します。
1.5月10日「地質の日」の由来
明治9年(1876年)5月10日に、日本で初めて広域的な地質図として「日本蝦夷地質要略之図」(200万分の1)が作成されたこと、明治11年(1878年)5月10日に地質の調査を扱う組織(内務省地理局地質課)が定められたことに由来します。
2.地質の調査に関する取組
国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センターは、136年にわたって実施してきた地質調査の結果を、各種地質図やデータベースなどの地質情報としてウェブサイト等で公開しています。
3.パネル展示の概要
(1) 期間:平成30年5月1日(火)~平成30年6月1日(金)18時まで
(2) 場所:経済産業省本館1階ロビー(正面玄関側)
(3) 内容:「近代日本の鉱工業発展を支えた地質図たち」
明治時代(19世紀末)から、戦前、戦後、高度成長期を経て現在まで、日本の社会基盤を支え続ける地質図の歴史を、地質調査所(現 産業技術総合研究所地質調査総合センター)の足跡 とともに振り返ります。
展示している地質図類 | 発行年 |
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タイトル(200万分の1日本蝦夷地質要略之図含む) | |
20万分の1地質図幅「伊豆」 | 1884(明治17年) |
300万分の1日本群島地質図 | 1889(明治22年) |
原田豊吉の地体構造図 | 1890(明治23年) |
ナウマンの地体構造図 | 1893(明治26年) |
40万分の1予察西南部地質図 | 1895(明治28年) |
100万分の1大日本帝国地質図(日本語版)(英語版は1900、1902年) | 1899(明治32年) |
200万分の1日本帝国地質図(第2版) | 1926(大正15年) |
7万5000分の1地質図幅の作成(昭和 3[1928]年) 1920年代(大正時代後半) になると7万5000分の1地質図幅が作成されるようになり、その多くは昭和に入った1920年代後半から1930年代に作成された。対象となったのは日本の地質を理解するために標準的と思われた地域(例えば四国) や鉱産資源の期待される地域(金属資源:秋田、日立、石炭:九州北部) などであった。 |
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7.5万分の1地質図幅「多治見」(粘土・亜炭) | 1928(昭和3年) |
7.5万分の1地質図幅「助川」(日立鉱山・銅) | 1935(昭和10年) |
戦後の高度成長を支えた5万分の1地質図幅 1950年代になると全国で5万分の1地質図幅が作成されるようになり、現在全国の7割ほどが整備されている。高度成長期には産業を支える鉱産資源の分布地域を中心に地質図が多く作られた。特に、セメントの原料になる石灰岩の分布地域や、金属、石炭、石油の分布地域などが対象になった。 |
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5万分の1地質図幅「近江長浜」(石灰岩伊吹山) | 1956(昭和31年) |
5万分の1地質図幅「東茂住」(神岡鉱山) | 1959(昭和34年) |
200万分の1日本地質図(第4版) | 1971(昭和46年) |
100万分の1日本地質図(第2版) | 1978(昭和53年) |
プレートテクトニクスがもたらした日本の地質学の革命的転換 | |
500万分の1日本地質図(第4版) | 1982(昭和57年) |
100万分の1日本地質図(第3版) | 1992(平成4年) |
5万分の1地質図幅「野田」 都市の地下がわかる地質図-5万分の1地質図幅「野田」 |
2011(平成23年) |
20万分の1日本シームレス地質図−2005年版からV2(2017年)、3D地質図 |
4.Webだけの情報「最新の地質図・近未来の地質図」
- 【動画】現代の地質図「20万分の1日本シームレス地質図V2」(mp4 / 58 MB)
「20万分の1日本シームレス地質図V2」Webサイト - 【動画】地下を覗く新たな地質図-国内初の3次元地質地盤図-(mp4 / 35 MB)
「都市域の地質地盤図」Webサイト
経済産業省Webサイト「ニュースリリース」(2018.05.01 掲載)
5月10日は「地質の日」です~日本の地質調査の歴史についてのパネル展示開催~
経済産業省Webサイト「METI Journal」(2018.04.26 掲載)
日本の発展を支える地質図に歴史あり-防災対策にも欠かせない国の知的基盤-
こちらのデータベースより様々な地質図をご覧頂けます。
貴重資料データベース:https://gbank.gsj.jp/rarebook/rarebook_top.html
産総研地質調査総合センターが所蔵している、主に明治時代から戦前にかけて旧地質調査所で発行された資料を検索・閲覧ができます。
※PC環境によりご利用頂けない場合があります。動作環境(https://gbank.gsj.jp/geolis/about/system_test.html)
地質図Navi:https://gbank.gsj.jp/geonavi/
産総研地質調査総合センターから配信される数多くの地質図データを表示するとともに、活断層や第四紀火山などの地質情報を地質図と合わせて表示することが可能な地質情報閲覧システムです。
地質情報データベース:https://www.gsj.jp/researches/geodb/index.html
地質調査総合センターの研究成果を発信するデータベースのリンク集です。地球科学に関する様々な情報をご利用いただけます。(上記に紹介の「貴重資料データベース」「地質図Navi」もこの一部です。)
展示内容についてのお問い合わせ先
国立研究開発法人 産業技術総合研究所地質調査総合センター
担当者:斎藤、阪口、野々垣
電話:029-861-3540(直通)
更新履歴
- 2018年5月 8日:一部のブラウザでの動画再生不具合を修正。
- 2018年5月 7日:4 Webだけの情報「最新の地質図・近未来の地質図」動画2種を追加。
- 2018年5月 1日:「展示している地質図類」・「データベース」・経済産業省Webサイト「ニュースリリース」を追加。
- 2018年4月26日:2018年ページ開設