地質標本館について

館長からのご挨拶
「地球とリンク、地球と共存するために」

 地質標本館は、我が国の地質の調査のナショナルセンター、産総研地質調査総合センター(GSJ)の公開施設です。1980年に、現在のつくば市に設置され、以来、国内最大級の地球科学専門のミュージアムとして、一般から専門の方々まで幅広く親しまれてきました。

 地質標本館では、一般的な地球科学の啓発となる展示はもとより、GSJの研究活動で得られた成果の発信と普及に努めています。ここでは、地球の姿とその歴史、さらに個々の地質現象を紹介するとともに、これらの本質に関わる情報を分かりやすく提供する役目があります。館内でご覧いただく展示や各種イベント開催に用いるコンテンツは、地球を知るための知識と技術を備えた、200名を超えるGSJの研究者らのサポートで成り立っています。そのため、GSJの地質標本館だからこそ提供できる、最新の地球科学の情報をたくさんそろえ、時には研究者自らが講演・解説しています。また、GSJの研究を支える、世界でも最高水準の岩石薄片の作製技術も見どころです。

 地質標本館では、岩石や鉱物、化石など、およそ2,000点の標本を常に展示しています。そのバックヤードには、GSJの研究成果としての性格も持ち合わせたおよそ170,000点の貴重な登録標本を有し、世界でも第一級の地質試料レポジトリ拠点として、これらの保存と管理にも努めています。これらの標本は、GSJの研究にはもちろん、ほかの研究機関からの利用依頼にも応えるなど、社会への還元にも努めています。特別展や様々な体験イベントはたいへんご好評をいただいています。また近年は、各地の自治体や企業、その他各種団体の皆様との連携も積極的に進めています。

 地質標本館にお越しいただくと、地球内部の過酷な環境で生まれながら今はただ静かに光る鉱物や、時間を超えてもなお堂々とその存在感を示す化石など、これらの自然が創る不思議に触れていただくとともに、地下の資源や美しい地球環境の尊さを感じていただけることでしょう。また、忘れた頃にやってくる地震や火山噴火など、人知を超えた領域についても、その現象と履歴を知ることで正しく恐れるための学びの場として地質標本館をご利用していただけるでしょう。

 地球を知って地球とリンク、地球と共存するための知恵がここにはあります。それを確かめに、ぜひ地質標本館へお越しください。

館長写真 地質標本館 館長
森田澄人


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