福徳岡ノ場、8月13日以降の火山活動の衛星解析概説
2021年8月31日 掲載
地質情報研究部門 水落裕樹
2021年8月13日から福徳岡ノ場周辺の海域(図1)では、海底噴火活動が続いており、8月15日には直径約1kmの馬蹄形の新島が確認されました(気象庁)。産総研では、福徳岡ノ場の火山噴火後2021年8月16日~8月19日において経産省の衛星センサASTERの緊急観測および解析を実施しました。その結果を概説します。
2021年8月16日以降の可視・近赤外画像で、南硫黄島北東に新島の出現および周辺海域の海洋変色が確認されました(図2左)。熱赤外画像の解析によれば、新島に溶岩の流出と考えられる高温の領域はありません(図2右)。東西の新島の中間地点に位置する火口部からの水蒸気・ガスの放出が8月16日に海上保安庁により確認されていますが、輝度強調をかけた8月18日のASTER VNIR画像(図3)においても当該地点に輝度の高い点が観測されており、海面の沸騰もしくはガスの噴出が起こっていると思われます。
これらの解析結果は、火山噴火予知連絡会に提出しました。
緑、赤、近赤外バンドそれぞれについて、
放射輝度値の15~85パーセンタイル値の範囲をストレッチして表示したもの。
新島周辺の海洋変色(false color中で青色の霞状パターン)と、
東西の新島の中間地点における火口部の活動が確認できる。
参考:気象庁ホーム > 火山登山者向けの情報提供ページ > 火山活動の状況> 火山活動の状況(福徳岡ノ場)
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/331.html
火山噴火予知連絡会に GSJ が提出した資料
https://www.gsj.jp/hazards/volcano/kazan-bukai/yochiren/fukutokuokanoba_20210831_1.pdf