GSJ 地質ニュース
表紙
安達太良山1900年7月17日噴火の慰霊碑,福島県耶麻郡中ノ沢温泉神社
福島県,安達太良山において,明治33(1900) 年7 月17 日に水蒸気噴火が発生した.噴火が発生した山頂部の沼ノ平では,当時,硫黄の採掘・精錬が行われており,作業員とその家族の居住棟も設けられていた.この噴火では火砕サージが発生し,その流下方向が避難経路と同じであったことから,避難中の乳幼児を含む多数が被災した.また,沼ノ平底部が陥没し,鉱山施設と共に従業員らが巻き込まれた.死者・行方不明者は80 名を超え,被災後救命された者は4 名,噴火直前に作業場から無事に避難できた者は1 名に過ぎない.写真は,噴火の1 年後に健立されたもので,写真右の石碑は行方不明となった鉱山長(渋沢仁之助氏),左は全遭難者を慰霊するものである.間に見える角塔婆は,平成12(2000)年に地元有志により挙行された噴火百周年遭難者慰霊祭において設置されたものである.今年はこの噴火災害発生後120 年にあたる.この災害から改めて学び,今後の防災・減災につなげることで,多くの被災者の方々への鎮魂としたい.
(文・写真:伊藤順一 活断層・火山研究部門)
目次
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頁 | タイトル / 著者 | |
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表紙・目次・裏表紙 | 安達太良山1900年7月17日噴火の慰霊碑,福島県耶麻郡中ノ沢温泉神社 / 伊藤順一 | 566KB |
p.175-176 | 産総研第5期中長期目標期間における地質調査総合センターの研究戦略 / 中尾信典 | 447KB |
p.177-180 | 地質情報研究部門の2020年度研究戦略 / 荒井晃作 | 3.2MB |
p.181-182 | 活断層・火山研究部門の2020年度研究戦略 / 伊藤順一 | 294KB |
p.183-184 | 地圏資源環境研究部門の2020年度研究戦略 / 光畑裕司 | 366KB |
p.185-191 | 日本初のGSSP:千葉セクションとチバニアン / 板木拓也 | 3MB |
p.192-194 | 令和元年度廣川研究助成事業報告 噴出物の組織解析に基づく水蒸気噴火研究の動向調査と国際共同研究に向けた情報収集 / 南 裕介 | 1.2MB |
p.195-200 | 鹿沼土の話② −鹿沼土を観察してみる / 地下まゆみ・徐 維那・須藤定久・高木哲一 | 2MB |
p.201-202 | 新人紹介 羽地俊樹・浅田美穂・嶋田侑眞・田中 衛 | 1.9MB |
p.203-204 | 新刊紹介「進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語」 | 464KB |
【一部修正】p.202 修正のため差し替え(2020.9.7)