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地質調査研究報告 Vol.74 No.1(2023)
表紙
大越沢サブユニット中の深海ペルム系-三畳系境界(下図は見取り図)
本報告で対象とした北部北上帯大鳥ユニットの構造的下部には,ペルム系-三畳系境界を含む遠洋深海堆積岩層が存在する.境界層準は黒色粘土岩や珪質粘土岩からなり変形が集中しやすいため,日本列島に広く分布するジュラ紀付加体の中でも数カ所しか露頭が確認されていない.大鳥ユニットでは,特異的にペルム紀-三畳紀境界の黒色粘土岩が広範囲に連続して観察され,写真中の折壁川沿いの露頭もその岩相が見られる例である(論文中の地質図からは南に外れる).この地域に典型的なように沢岸でも植生などにより観察が妨げられる一方,水底ではペルム系チャートに三畳系基底の黒色粘土岩が整合的に累重する様子がはっきりと見てとれる.
(写真・文:武藤 俊)
目次
全ページ PDF : 74_01_full.pdf [24MB]
タイトル | 著者 | |
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論文 | ||
Geology and accretionary age of the Otori Unit, North Kitakami Belt | MUTO Shun, ITO Tsuyoshi and MURAYAMA Masafumi | 74_01_01.pdf [21MB] |
講演要旨 | ||
第34回地質調査総合センターシンポジウム「防災・減災に向けた産総研の地震・津波・火山研究 -東日本大震災から10 年の成果と今後-」講演要旨集 | 第34回地質調査総合センターシンポジウム事務局 | 74_01_02.pdf[2.5MB] |
要旨集
Geology and accretionary age of the Otori Unit, North Kitakami Belt
MUTO Shun, ITO Tsuyoshi and MURAYAMA Masafumi
東北日本の北部北上帯に属するジュラ紀から白亜紀初期に形成された付加体は,同時代に形成された西南日本の付加体と比較して研究が少ない.本論文では,北部北上帯北東部,安家川上流に分布するジュラ紀付加体大鳥ユニットについての調査結果を報告する.詳細なマッピングに基づき,大鳥ユニットが,構造的下位を占めチャートと珪質泥岩の整然相が構造的に繰り返す大越沢サブユニットと,構造的上位を占め泥質岩に砂岩,チャート,微量の玄武岩類が含まれる混在相の大坂本サブユニットからなることを明らかにした.大越沢サブユニットの珪質泥岩中のマンガンノジュールから中期ジュラ紀バトニアン期を指示する放散虫化石が得られた.また,大坂本サブユニットの砂岩試料から抽出された砕屑性ジルコンは,約170 Ma の最若年代を示す.放散虫および砕屑性ジルコンの年代から,大鳥ユニットの付加年代はバトニアン期と推定される.本研究のデータを用いて,北部北上帯と西南日本の南部秩父帯との対比について検討した.大鳥ユニットは構造的には南部秩父帯の大平山ユニットに対応し,両者は混在相からなる点で類似し,付加年代も重なっている.しかし,大鳥ユニットが石灰岩を欠く点と珪質泥岩の年代が若い点は大きな相違点であり,両者は厳密には対比できない可能性がある.
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