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地質調査研究報告 Vol.64 No.9/10 (2013)
表紙
東茨城台地に分布する中期更新統夏海層の河川堆積物
中位の白色層は新潟県湯沢町の飯士火山から約22万年前に噴出した飯士真岡テフラの再堆積物で,海洋酸素同位体ステージMIS7cの指標である.この地層はかつて“見和層中部”と呼ばれていたが,MIS5eに形成された見和層とは別の地層として扱う必要がある.茨城県大洗町神山.
(写真・文:山元孝広)
目次
全ページ PDF : 64_09_full.pdf [21.2MB]
タイトル | 著者 | |
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論文 | ||
東茨城台地に分布する更新統の新層序とMIS5-7 海面変化との関係:地下地質とテフラ対比による茨城層, 見和層,夏海層,笠神層の再定義 | 山元孝広 | 64_09_01.pdf [10.9MB] |
栃木-茨城地域における過去約30 万年間のテフラの再記載と定量化 | 山元孝広 | 64_09_02.pdf [9.6MB] |
概報 | ||
十和田火山,先カルデラ期~カルデラ形成期テフラの放射年代測定 | 工藤 崇・小林 淳 | 64_09_03.pdf [1.3MB] |
要旨集
東茨城台地に分布する更新統の新層序とMIS5-7 海面変化との関係:
地下地質とテフラ対比による茨城層,見和層,夏海層,笠神層の再定義
山元孝広
東茨城台地を構成する更新統は,汎世界的な氷河性海面変化により形成された地層である.すなわち,この更新統は下刻した谷地形を埋める泥質のエスチュアリー堆積物とこれを覆う砂質の外浜堆積物から主に構成され,既存研究により“見和層” と呼ばれていた.しかし,“見和層”には複数回の氷河性海面変化が含まれるので,これを再区分して新しい地層名を設定する必要がある.本報告では公表されている霞ヶ浦導水トンネル沿い46ボーリング孔と北関東・東水戸自動車道沿い19ボーリング孔の岩相資料を検討し,東茨城台地更新統中に新たに6つの埋没河谷のあることを確認した.さらに,更新統の露頭から採取した9試料中の火山ガラスの主成分化学組成分析を行い,鬼界葛原テフラ(9.5万年前),赤城水沼8テフラ(13万年前),飯士真岡テフラ(22万年前),阿多鳥浜テフラ(24万年前)を検出している.これらの検討の結果,新たに上位から茨城層,見和層,夏海層,笠神層からなる更新統の層序を定義した.これらの地層の堆積時期は,それぞれ海洋酸素同位体比層序の5c,5e,7a-c,7eに相当する.
栃木-茨城地域における過去約30 万年間のテフラの再記載と定量化
山元孝広
栃木−茨城地域に分布する過去約30万年間のテフラを,未公表資料を追加して層序・分布・構成物・噴火年代・マグマ体積について再記載した.これらのテフラは高原火山,男体火山,赤城火山,飯士火山,榛名火山から噴出したものである.本報告では,域内のマグマ体積が0.1km3DRE以上のものについてはもれなく記載している.最大規模は約4.4万年前の赤城鹿沼テフラ(Ag-KP)で,その最小マグマ体積は2km3DREである.さらに,本報告では栃木県中央部で掘削されたKR1コアについての桑原 (2009) のテフラ層序記載を改めている.これは,桑原(2009) のテフラ対比に重大な間違いがあるためである.再記載された新テフラ層序は,この地域の地層対比や地質環境の長期予測の基礎となろう.
十和田火山,先カルデラ期~カルデラ形成期テフラの放射年代測定
工藤 崇・小林 淳
十和田火山先カルデラ期~カルデラ形成期のより詳細な噴火史編年を目的として,十和田火山及び八甲田火山起源テフラを対象に,フィッション・トラック(FT)及び放射性炭素(14C)年代測定を行なった.その結果,白ベタテフラ(WP)より0.23 ± 0.05Ma,T-6テフラより0.19± 0.05 Ma,ザラメ1テフラ(ZP1)より0.08±0.03Ma,奥瀬火砕流堆積物より0.09 ± 0.03MaのFT年代が得られた.得られたFT年代は,いずれも層序と矛盾はしないものの,誤差が数万年と大きい.そのため,より精度良く噴火年代を見積もるためには,他の年代測定法の適用も含めて,今後さらなる検討が必要である.一方,BP2からは17,730 ± 70 BPの14C年代が得られた.この年代は,層序と良く調和しており,BP2の噴出年代を示すものとして妥当と判断される.
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