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地質調査研究報告 Vol.63 No.9/10 (2012)
表紙
北海道幌延町、DD-1孔の掘削現場
北海道幌延町において深度1,000mを越えるボーリング調査を実施した。掘削現場は天塩平野の沿岸域で海岸線から300m程度の内陸に位置する。研究プロジェクトの主な目的は沿岸域における地質環境、特に深部地下水に関する評価手法の高度化である。研究プロジェクトでは陸、海域におよぶ広範囲の物理探査も実施され、調査結果の統合的な解析が進められている。
(写真:吉岡正光(サンコーコンサルタント株式会社)、文:越谷 賢)
目次
全ページ PDF : 63_09_full.pdf [20.5MB]
タイトル | 著者 | |
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論文 | ||
北海道幌延町の沿岸域における大深度ボーリングの岩相・微化石・テフラ | 越谷 賢 ・丸井敦尚・五十嵐八枝子 ・秋葉文雄 ・古澤 明 ・岡 孝雄 ・萩原育夫 | 63_09_01.pdf [5.2MB] |
概報 | ||
Geology of the Permian Higashimata Complex in the Nanjō Mountains, Fukui Prefecture, Southwest Japan | Satoshi Nakae | 63_09_02.pdf [9.1MB] |
要旨集
北海道幌延町の沿岸域における大深度ボーリングの岩相・微化石・テフラ
越谷 賢 ・丸井敦尚・五十嵐八枝子 ・秋葉文雄 ・古澤 明 ・岡 孝雄 ・萩原育夫
北海道北部に位置する天塩平野は北海道における最も顕著な沈降域であり、周辺には新第三紀以降に堆積した深海成から陸成へ浅海化を示す厚い堆積物が分布する。勇知層と更別層は鮮新世~更新世に堆積した浅海~河川成を示す堆積盆末期の堆積物であり、丘陵地に分布する両層の微化石・テフラ分析による編年から同時異相の関係にあることが明らかとなってきている。ただし、天塩平野は大部分が沖積層に覆われ、地下に分布する勇知層・更別層について堆積年代・環境の詳細は不明であった。我々は天塩平野の沿岸域において深度1,000mに及ぶオールコアボーリングを実施し、沖積層 (深度87.8mまで) の下位に、更別層 (深度87.8~471.5m) ・勇知層 (深度471.5m以深) が分布することを確認した。そして、勇知層・更別層の堆積年代を把握するため、採取コアを対象に微化石 (花粉、珪藻) 分析とテフラ分析を行った。その結果、ボーリングコアは産出した花粉化石から3つの花粉帯に区分され、最上位の深度90~200mに北海道~サハリンに分布する下部更新統に広く認められるハラミロ・サブクロン以降に成立したLarix帯に対比される花粉帯が確認された。また、深度930 m付近に1.5 Ma程度の地質年代を示すテフラに同定可能なテフラが確認された。珪藻化石は二次的に再堆積したものが多く化石帯の認定には至らなかったものの、他の分析結果と矛盾する種は確認されなかった。地質分析の結果を総合すると、深度90~1,000m付近までに分布する勇知層・更別層は0.8~1.5Ma頃までの約70万年間に形成された堆積物であることが明らかとなり、勇知層・更別層の示す同時異相の関係は天塩平野まで広く認められる現象であることが確認された。また、天塩平野の東部丘陵地に分布する両層とは50万年程度の堆積時期の違いがあることが示唆され、本地域における地史を編むに有益な情報が得られた。
西南日本、福井県南条山地におけるペルム系東俣コンプレックスの地質
中江 訓
福井県の南条山地北縁部に分布する超丹波帯東俣コンプレックスについて、岩相・層序・地質構造・地質時代について記載した。東俣コンプレックスは、千枚岩質泥岩と砂岩などの陸源砕屑岩を主体とし少量の珪質泥岩・珪長質凝灰岩・チャートを伴う。下限は低角断層により下位の美濃帯ジュラ系と接し、上限は白亜系足羽層群に不整合で覆われる。全層厚は約5,200mに達する。東俣コンプレックスは千枚岩質泥岩・砂岩泥岩互層・砂岩が累重する層序で構成され、これが複数繰り返し露出する特徴をもつ。主要な大構造は、東西走向・北傾斜の同斜構造である。産出報告された放散虫化石に基づくと東俣コンプレックスの地質時代は、中期ペルム紀の末期から後期ペルム紀の前半と判断される。
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