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地質調査研究報告 Vol.60 No.9/10 (2009)
特集 : 熱帯における地中熱利用可能性の研究
表紙
これらの写真は、2006年10月にタイ地下水資源局 (DGR) のカンペンペット事務所に設置した地中熱ヒートポンプシステムを示している。上段は、熱交換井へU字管 (熱交換パイプ) を挿入する様子。左は U 字管を伸ばしているところ、右は熱交換井へ挿入しているところ。下段左の写真は、熱交換井からヒートポンプまでの U 字管およびプラスチック管の接続の様子。下段右は、この地中熱ヒートポンプによって冷房を行っている部屋で、ファンコイルから冷風が出ている様子。涼しい !
(写真と文 : 安川香澄)
目次
タイトル | 著者 | |
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序文 | ||
序文 | 安川香澄・内田洋平・天満則夫 (457) | 60_09_01.pdf [500 KB] |
論文 | ||
熱帯アジアにおける地中熱利用のための地下温度調査 | 安川香澄・内田洋平・天満則夫・田口雄作・村岡洋文・石井武政・ジットラコーン スワンラート・ソムキッド ブアペン・グエン タイ ハ (459-467) | 60_09_02.pdf [1.5 MB] |
タイ・カンペンペットにおける地中熱冷房利用実証運転 | 安川香澄・高島 勲・内田洋平・天満則夫・オラニュー ロルペンスリ (491-501) | 60_09_04.pdf [1.9 MB] |
カンペンペット (タイ) における地中熱ヒートポンプ冷房利用の実証試験における地下環境評価について | 天満則夫・安川香澄・高島 勲・内田洋平・オラニュー ロルペンスリ・ジョージ ジボロスキー (503-509) | 60_09_05.pdf [1.6 MB] |
要旨集
熱帯アジアにおける地中熱利用のための地下温度調査
安川香澄・内田洋平・天満則夫・田口雄作・村岡洋文・石井武政・
ジットラコーン スワンラート・ソムキッド ブアペン・グエン タイ ハ
今世紀の多大な経済的発展が見込まれる東アジアでは、エネルギーセキュリティと環境保護が大きな課題となると見られる。地中熱ヒートポンプ (GHP) システムの普及は、その両方の問題解決に貢献すると考えられる。GHP 普及のためには、詳細な地下温度分布情報が必要である。そのため、地下水温度データに基づいて、熱帯アジアにおいての GHP 利用可能性の研究を行った。地下温度は一般的に地表の平均気温よりも高いため、熱帯では一般的に地中熱を冷房に利用することの熱的メリットはないが、場所によっては、地下を「冷たい熱源」として利用できる可能性がある。この可能性を探るため、タイのチャオプラヤ平野およびベトナムのホン川平野において、広く地下水温度調査を行い、気温データとの比較をおこなった。その結果、チャオプラヤ平野では、場所により深度 20〜50m の温度範囲が 3.4K、ホン川平野では 2.0K も変化することが明らかになった。またいくつかの都市では、この深度の地下温度が月平均最高気温より 5K 以上低い月が 4 ケ月以上あることが確認された。従って、熱帯でも場所によっては、地下を冷熱源として GHP に利用できる可能性が出てきた。
タイ・カンペンペットにおける地中熱冷房利用実証運転
安川香澄・高島 勲・内田洋平・天満則夫・オラニュー ロルペンスリ
冷房用地中熱ヒートポンプシステムをタイのカンペンペットに設置し、2006 年から 17 ケ月の試験運転を行った。地下の熱特性および短期-長期のシステム運転影響を評価する目的で、地下の熱交換パイプ内およびその周辺の温度を連続観測した。システム運転による地下温度上昇は数日で回復し、1 年間の運転後でも長期的影響は見られなかった。この期間中、室温、気温、システムの電力消費量、1次流体および2次流体の流量と出入口温度も観測した。その結果、安定した運転が行われていた期間には、成績係数 COP はほぼ3という値が得られた。本論文では、温度観測結果およびシステム成績について記す.
カンペンペット(タイ)における地中熱ヒートポンプ冷房利用の実証試験における地下環境評価について
天満則夫・安川香澄・高島 勲・内田洋平・オラニュー ロルペンスリ・ジョージ ジボロスキー
地中熱利用ヒートポンプシステムの冷房利用の実証試験がカンペンペット (タイ) にて 2006 年 10 月から 2008 年 3 月まで実施された。熱交換井に13の温度センサーを設置して地下温度の温度計測が行われた。そこで、この実験データを用いて、周辺の温度影響に関する数値計算を行った。その結果、運転実績に伴う地下温度場への影響はほとんどないことがわかった。
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