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地質調査研究報告 Vol.58 No.5/6 (2007)
表紙
小型船を用いた海底地質調査
日高沖洪水堆積物調査では 5 トンクラスの作業船を用い、堆積物の採取と海底写真撮影を行った。写真はスミス・マッキンタイヤ式グラブ採泥器の揚収作業の様子。小型船を使った調査では、少し波が大きくなると船が大きく揺れるため作業は困難となる。
(文 : 片山 肇、写真:嵯峨山 積)
目次
タイトル | 著者 | |
---|---|---|
論文 | ||
新潟県津川地域に分布する中新統野村層のテフラ層序及び珪藻化石層序との関係 | 平中宏典・黒川勝己・柳沢幸夫 (133-188) | 58_05_01.pdf [6,966 KB] |
概報 | ||
北海道日高沖陸棚上における 2003 年洪水後の表層堆積物分布 | 片山 肇・池原 研・菅 和哉・嵯峨山積・入野智久・辻野 匠・井上卓彦 (189-199) | 58_05_02.pdf [1,160 KB] |
要旨集
新潟県津川地域に分布する中新統野村層のテフラ層序及び珪藻化石層序との関係
平中宏典・黒川勝己・柳沢幸夫
新潟県津川地域の品沢川ルートに露出する中新統野村層のテフラ層序を確立し、約 80 層のテフラ層の産状、記載岩石学的特徴 (構成粒子組成・火山ガラス形状・有色鉱物組成) と火山ガラスの主成分化学組成を明らかにした。あわせてテフラ層序と珪藻化石層序との直接関係についても検討を行い、各テフラ層の詳しい堆積年代を算定した。また、テフラ層の挟在頻度から 12 Ma 〜 7.5 Ma の間を 4 つのステージに区分した。本地域においては、年代が新しくなるにつれて、テフラ層の挟在頻度が増加し、火山ガラスの K2O 量が減少する傾向が認められた。
北海道日高沖陸棚上における 2003 年洪水後の表層堆積物分布
片山 肇・池原 研・菅 和哉・嵯峨山積・入野智久・辻野 匠・井上卓彦
北海道日高沖陸棚上において、2003 年 8 月に発生した大規模な洪水後の表層堆積物の分布を 2005 年と 2006 年の調査で明らかにした。沙流川沖の内側陸棚には粗粒砂から礫が広く分布する。沙流川沖の内側陸棚に発達する凹地内には主に中粒砂が分布し、一部では表層部に泥が認められる。洪水直後に内側陸棚に広く分布していた泥は 2 年後までにほとんどが流失し、残されているのは凹地内の比較的狭い範囲に限られる。外側陸棚には主に細粒砂が分布するが、凹地の延長に周囲よりも細粒で含泥率の高い堆積物が沖に向かって帯状に分布する。厚別川沖でも沙流川沖と同様に内側陸棚の凹地内に泥が分布し、凹地の延長の外側陸棚では細粒堆積物の帯状の分布が認められる。一方、河口沖に凹地の見られない新冠・静内沖では、堆積物は主に細粒 ‐ 極細粒砂からなり、内側 ‐ 中部陸棚に泥が分布するが、外側陸棚には細粒堆積物の帯は認められない。10 数年前の調査結果と比較して、この海域の内側 ‐ 中部陸棚では含泥率の顕著な増加が認められ、洪水の影響が示唆される。河口沖の海底地形が洪水堆積物の沖合への輸送と保存を規制していると推定される。
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