薄片・研磨片製作-世界最高水準-
2021年 4月13日 開設
多くの情報を持つ薄片・研磨片を作るために必要なのは、技術の正確さだけではありません。製作工程で起こりうる試料へのダメージを想定し、それに対応するための「経験知」が重要です。
地質調査総合センターでは、熟練した技術者の現場で培われた感覚・知識によって、機械だけでは決して到達できない世界最高レベルの薄片・研磨片を作製しています。
地質研究の最前線を支える「手業」
新たな技術の開発にも積極的に取り組み、多様化する試料に柔軟に対応しています。例えば、粘土鉱物の「イモゴライト」は、発見されてから約50年もの間、薄片の製作は不可能と考えられてきました。我々は、この鉱物を薄片にする技術を世界で初めて開発し、野外で産出する状態を保ったままの観察・分析を可能にしました。
その他、硬度差が極端にある鉱物を含む試料や、固形を維持していないヘドロのような試料、熱に弱い試料などであっても、精度の高い薄片・研磨片を製作し、研究者に提供しています。さらに、薄片技術者を対象とした技術研修も行い、最新の薄片技術を国内外に発信しています。
薄片作成の様子 (Photo by YASUTOMO Yasuhiro/GSJ)
イモゴライト(黄色い部分)を含む土壌試料の光学顕微鏡写真