レアメタル鉱石の解析-迅速に 正確に-
2021年 4月13日 開設
鉱石の鉱物同定と解析
鉱石中の有用鉱物を濃縮させるためには、鉱石試料を粉砕し有用元素を多く含む鉱石鉱物を選択的に分離回収しなければなりません。そのためには、鉱石中のどの鉱物に有用元素がどの程度含まれているのかを知ることが大切です。また、粉砕した鉱石試料の中で目的鉱物が分離回収しやすい状態であるかを示す、単体分離性の評価も重要です。地質調査総合センターでは、鉱石を構成する鉱物を迅速に分析・解析する最新の装置と技術を導入し、さらなる高度化まで行っています。
その装置の1つが、「鉱物単体分離解析装置(MLA)」です。MLAは、電子顕微鏡画像と蛍光X線スペクトルに基づいて試料の形状観察と鉱物同定を自動で行う装置で、一晩で10万粒子以上の単体分離性の評価を行うことが可能です。
未利用資源開発のための元素分析
近年、鉱山から採掘される様々な鉱石の品位は低下傾向にあることから、低品位鉱など従来利用されてこなかった資源の開発が求められています。そのためには、低品位鉱中に含まれる高価な有用元素の回収率や、有害元素の除去率を向上させることが重要です。しかし、これらの元素は比較的濃度が低く、MLAでの評価が困難な場合があります。そこで、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICPMS)による微小域微量元素分析が有効となります。LA-ICPMSは、直径数十 µm 以下の微小領域中に含まれる元素の濃度や同位体比を分析することが可能な装置で、リチウムからウランまでの幅広い元素に対応しています。検出限界も 1 ppm(0.0001%)以下と、極微量まで測定することができます。
地質調査総合センターでは、これらの最新の装置や技術を駆使し、さらには装置の高度化・技術開発を行いながら、世界各地で行われる資源の探査や評価を推進しています。
レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS)による分析の様子