活断層・地震の調査で減災を目指す-過去を知り、未来を予測する-

2021年 4月13日 開設

 地質調査総合センターは、国の活断層調査研究における中軸機関としての役割を担っています。空中写真判読、地形地質調査、反射法地震探査などを組み合わせて活断層を見つけ出し、ボーリング調査、トレンチ調査と地層の年代測定によって、多くの活断層の過去の活動を明らかにしてきました。

新たな調査・評価の手法が必要

 地震は「自然現象」です。その発生メカニズムのすべてが解明されているわけではありません。地震が起こるたびに、それまでのモデルでは説明できないような新たな課題が次々と突きつけられます。私たちは、「どのような研究を行ったらそれらを解決することができるのか。そして、次の地震予測につなげていけるのか」との視点から、新たな活断層調査・評価手法の研究開発に取り組んでいます。
 例えば、「地震時変位量」に着目して、地震を起こす領域を推定する手法の開発を行っています。地震時変位量がわかれば、活断層帯の中のどの領域が地震を起こしたのかを知る手がかりになるということがわかってきたのです。また、宇宙線生成核種を用いた表面照射年代を活断層評価に応用する研究にも挑戦しています。これまで、地層の年代は、火山灰や炭素がないと知ることができませんでした。しかし、この手法では、岩石や地層の中に普遍的に含まれる石英を用いて年代を推定できるため、これまで年代が分からなかった地層や地形面の年代を知ることができるのです。
 これらの研究の成果は、論文で公表するとともに、「活断層データベース」をウェブ上で公開し、迅速かつわかりやすく発信していきます。

リンク:活断層データベース

トレンチ調査の様子. 2016年熊本地震の際に地表地震断層が現れた場所を掘削した結果、地表の段差よりも大きなずれの痕跡が地層中に見つかった。これは、この断層が過去にも繰り返し地震を起こしてきたことを物語る。

トレンチ調査の様子。 2016年熊本地震の際に地表地震断層が現れた場所を掘削した結果、地表の段差よりも大きなずれの痕跡が地層中に見つかった。これは、この断層が過去にも繰り返し地震を起こしてきたことを物語る。

活断層データベースの検索画面。地図上の赤い線が活断層.線をクリックすると、活断層の名前や特徴(ずれの向きや過去に起こした地震など)が表示される。

活断層データベースの検索画面。地図上の赤い線が活断層。
線をクリックすると、活断層の名前や特徴(ずれの向きや過去に起こした地震など)が表示される。