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東・東南アジア地球科学計画調整委員会 (CCOP) について

 東・東南アジア地球科学計画調整委員会(CCOP)は、東・東南アジア地域における経済発展と生活レベルの向上を目的として、地球科学分野のプロジェクト、ワークショップ等の推進、調整を行う政府間機関です。この目的を達成するため、持続可能な資源開発、地質情報の整備、地質災害の軽減、環境保護における人材育成、技術移転、情報交換、組織間の連携を推進しています。

 CCOPは1966年、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の下に設立されました。当初は海洋地域での共同探査に重点を置き、そのための計画、研究や調査の立案、実行の調整を行う機関であり、その活動資金は主に国連開発計画(UNDP)から出ていました。

 国連から独立して政府機関となった1987年以降も、1991年までは組織面、資金面での援助は続いていました。その後は加盟国のほか、協力国、協力機関からの財政的、技術的支援を受けて、さまざまなプログラムを通じた地域内での協力強化をめざしています。本部はタイのバンコクにあり、現在の加盟国は16カ国(ブルネイ、カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パプアニューギニア、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム)です。14カ国の協力国のほか、ユネスコ、世界銀行など16機関が協力機関として資金面、技術面でCCOPを支援しています。

 日本は、その創立以来、各種プロジェクトに対する資金協力や専門家の派遣などを通じてCCOPに大きく貢献してきました。その間、日本は協力国としての立場も有していましたが、加盟国の経済発展やCCOPでの活動の進展を考慮し、2013年にその立場を離脱しました。日本の常任代表は産業技術総合研究所地質調査総合センター長が務めています。

CCOP

第55回年次総会、第73回管理理事会(2019年11月、タイ・チェンマイ)第55回年次総会、第73回管理理事会(2019年11月、タイ・チェンマイ)

CCOP設立50周年記念出版「Jubilee Book」(2016年)CCOP設立50周年記念出版「Jubilee Book」(2016年)

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CCOPパンフレット(日本語版)

CCOP の果たすべき役割

 CCOPは、以下のビジョン、ミッションを設定しています。

ビジョン:

東アジアおよび東南アジアの持続可能な開発のために地球科学の進歩を牽引する政府間機関

ミッション:

生活のレベルを向上し、未来の地球を守るため、持続可能な開発のための2030年アジェンダ(UN SDGs)、仙台防災枠組2015-2030、パリ協定などの国際合意で定められた目標の達成に努め、地球科学の進歩にともに協力する。そのために以下を行う。

  • 加盟国の有する資源および環境の効果的かつ持続可能な開発と管理を行うため、地球科学に関する知識を広く適用し、技術的な課題解決案、助言、地質情報を提供する。
  • 未来の地球を守るために、地球科学におけるデジタル革新を実現する。
  • 地球科学に関する教育、能力開発、および、アウトリーチを促進する。

CCOP 国内支援委員会

 わが国からのCCOPへの技術的な協力は、産総研地質調査総合センター (GSJ) が中核機関を務めています。国内関係各機関の動向を集約して、日本国全体として対応することが望まれることから、2006年2月6日に関連機関からなる「CCOP 国内支援委員会」が組織され、年次総会で発表するカントリーレポートの執筆や情報共有などが行われました。また、2013年10月に仙台で開催された年次総会では、GSJが中心となり、委員会に参加する機関の協力を得て開催の準備・運営が行われました。現在、委員会の具体的な活動は少ないですが、今後のCCOPの活動において日本として広く協力が求められる機会には、活動が再開されることになります。

日本が主導する進行中のCCOPプロジェクト

現在進行中のプロジェクト
  • 「地下水プロジェクト」
     地下水プロジェクトは,各国の地下水情報の整備や,地中熱利用の促進を目的としています。地下水プロジェクトレポートは、GSJ出版物として発行されています(CCOP-GSJ地下水プロジェクトレポート)。
  • 「地質情報総合共有プロジェクト(GSi)」
     2015年からスタートしたGSiプロジェクトは、各国で出版された地質情報を世界標準形式でGISを用いてウェブ上で共有することを目的としています。2018年9月にマレーシアで開催された第3回国際ワークショップで、GSiシステムを正式公開しました(産総研プレスリリース)。2020年6月時点で、17のポータルサイトが作成され、約800の地質情報が公開されています。2020年4月には、アジア太平洋地域地質ハザード情報システムが公開されました。
  • 「東・東南アジアの磁気異常図編集プロジェクト(MAMEA)」
     2002年に出版した400万分の1縮尺の磁気異常図(CD-ROM版)を改訂するプロジェクトです。2020年の出版を目指しています。
近年終了したプロジェクト
  • 「デルタにおける統合的地質アセスメントプロジェクト(DelSEA)」
     東アジアから東南アジアのデルタ地域における沖積層層序、シーケンス層序、近年の環境変化に対応した沿岸域の問題などを対象に、研究者間の情報交換、人材育成、共同研究を目的とするプロジェクトです。2004年に開始され、2018年に終了しました。
  • 「シームレス地質図(CCOP-ASEAN Harmonized Geology)プロジェクト」
     このプロジェクトでは,ASEAN諸国での地質図のシームレス化を目指しました。2014年に開始され、産総研の提案した地質凡例を適用し、インドシナ半島の国々(ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、マレーシア)の地質図のシームレス化を行い、2018年に編集図をWeb上で公開しました。
  • 「Stone Heritage Book プロジェクト」
     東・東南アジア各国の主な史跡に使用された岩石の地質学的意味・岩石特性・歴史的意義などをまとめた「Stone Heritage Book」の出版を目指したプロジェクトです。本は完成し,2016年3月のCCOP管理理事会で配布されました。
地下水プロジェクトにおける地下水井の見学(2019年、チェンマイ郊外)
地下水プロジェクトにおける地下水井の見学
(2019年、チェンマイ郊外)
タイ・バンコクにおける地中熱システムの実証試験
タイ・バンコクにおける
地中熱システムの実証試験
GSiプロジェクトにおけるWeb-GIS実習
GSiプロジェクトにおけるWeb-GIS実習
CCOP地質情報総合共有システム
CCOP地質情報総合共有システム
シームレス地質図プロジェクトにおける野外調査
シームレス地質図プロジェクトにおける野外調査
GSiシステム上に公開されたASEANシームレス地質図
GSiシステム上に公開されたASEANシームレス地質図
Stone Heritage Book
Stone Heritage Book