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岐阜・揖斐川町、揖斐川沿いの地すべり -地すべり周辺の地質の状況-
この件の問い合わせ先 産総研地質情報研究部門 斎藤 眞
研究の内容
2006年5月12日から岐阜県揖斐川町 (旧藤橋村) 東横山の揖斐川左岸で始まった地すべりは、5月13日朝大規模な崩壊が発生し、木曽三川の一つである揖斐川に土砂が流れ込みました。
地すべりには地質が関与していることが多いため、5万分の1地質図幅「横山」(斎藤・沢田, 2000)*1 に従って地質をみてみましょう (地質調査は1997-1999)。
(注) 雑多な岩石が含まれる岩石を混在岩といい、地質図で認められるサイズの岩体まで含めてこのような地層全体をメランジュと呼んでいます。
地質の概要
この地域は、日本がまだユーラシア大陸の東端にあったジュラ紀中期 (およそ1億6000-7000万年前) にできた付加体で、メランジュと呼ばれる岩相でできています。
付加体とは、海洋プレートの沈み込みによって、海洋プレート上の様々な年代の岩石が大陸プレートの縁にくっついてできる極めて複雑な地層です。その中でもメランジュ*2は、脆弱な地層に様々な種類と大きさのブロック状の岩石が混じり合ったゴミだめのような地層*3です。
メランジュはそのでき方から変形を受けていることが多く、特に内部の変形を受けた泥岩などに細かな割れ目があり、そこに水が関与して滑り面となり地すべり が起こることがあります。この地質図に示した部分では、南西側が貝月山花崗岩 (9500万年前) によって焼かれ (接触変成)、メランジュ形成時の割れ目は 無くなって硬くなっているのに対し、地すべり地付近ではほとんど影響を受けておらず脆弱なままとなっています。
さらに、この地すべり地の東側を、東南東方向から横山付近まで延びてくる谷汲断層*4が通っており、その影響を受けて脆弱な地層になっていると考えられます。
*1 通産省地質調査所 (現 産総研地質調査総合センター) 発行。
*2 料理でいう卵の白身を泡立てたメレンゲと語源は同じ。
*3 この付近では、ジュラ紀中期の泥岩の中に、主に三畳紀-ジュラ紀のチャート、古生代 (ペルム紀)-中生代 (三畳紀) の境 (2億5000万年前) に特徴的な粒度の細かい縞状の粘土岩がはいっています。
*4 地すべり地周辺では活断層とは言えませんが、南東方の谷汲付近では活断層の部分があります。地すべり地周辺でも破砕帯は見つかります。
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