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平成29年7月5日-6日の豪雨による大分県日田市小野で発生した斜面崩壊の地質学的背景

平成29年7月7日  開設

活断層・火山研究部門  火山活動研究グループ

概要

 平成29年7月5日-6日の豪雨により、大分県日田市小野の梛野(なぎの)地区、小野川右岸で発生した斜面崩壊地の地質を概説します。

 大分県日田市小野周辺は、570万年前から380万年前頃(後期中新世〜前期鮮新世)の開析された古い火山体からなります(図)。この火山体は、標高1200m程の英彦山(ひこさん)〜犬ヶ岳を中心に、30km×30km程の範囲に分布しています。

 岩石は、安山岩-デイサイト質の溶岩及び火山砕屑岩からなっています。標高の高いところには主に溶岩が分布し、この周囲に火山岩塊火山灰流堆積物や岩屑なだれ堆積物、土石流堆積物が分布します。

 今回斜面崩壊の起きた大分県日田市小野地区は、この英彦山〜犬ヶ岳を中心とする古い火山体の裾野に位置します。大量の降雨が、比較的脆弱な火山砕屑岩の崖を崩したと思われます。

図2 5万分の1地質図幅「広島」

英彦山周辺の地質図(20万分の1日本シームレス地質図V2より:https://gbank.gsj.jp/seamless/v2.html)。黄色部分が後期中新世〜鮮新世の火山岩類の分布を示す。十印は斜面崩壊の起きた大分県日田市小野。