第4回 鉱物肉眼鑑定研修終了報告

 第4回鉱物肉眼鑑定研修を2023年10月25日~10月27日に実施しました。産総研地質調査総合センターの坂野靖行が講師を務めました。本研修は鉱山会社等に勤務する技術者を対象としたもので、地質標本館登録鉱物標本約90点を用いて、天然に比較的普通に産出する鉱物の肉眼的特徴を理解することを主目的としました。鉱物肉眼鑑定ではルーペによる標本の観察が主体となります。本研修では、目的とする鉱物の特徴がよく分かる標本を事前に準備し、それらを1鉱物種あたり約20~30分ほどかけて観察してもらい、その場で講師が研修生の疑問点に答える方法をとりました。この方法だと多くの研修生を受け入れることはできないため少人数(5名)での実施としています。
 初日は1)鉱物肉眼鑑定の難しさ(生物種の鑑定との違い)、2)水晶を用いた結晶の形・結晶面の特徴、3)鉱物肉眼鑑定における観察ポイント(硬度、へき開、光沢等)に関する講義を行いました。引き続き天然にごく普通に産する金属鉱物(黄鉄鉱・黄銅鉱等6種)を観察してもらいました。鉱物種ごとに、講師が対象とする鉱物の肉眼的特徴及び鑑定ポイントを解説し、その後研修者がルーペを用いて標本の観察を行いました。そして観察しながら鑑定の決め手となる特徴を理解していただきました。
 2日目及び3日目は初日と同様なやり方で、天然にごく普通に産する鉱物(長石・方解石等7種)、鉱石鉱物(磁硫鉄鉱・硫砒鉄鉱・鉄重石・濃紅銀鉱等17種)を観察していただきました。
 ルーペを用いる研修の欠点は講師と研修生が観察部分を同時に共有できないことです。第2回の研修からは必要に応じて実体顕微鏡下での観察像を大型モニターに表示させ、全員が同じ画像を見る方法を導入しました。これにより、言葉(文字)での説明と実際の観察画像との対応が理解しやすくなったと思います。さらに今回から普通に産する黄鉄鉱・黄銅鉱・方鉛鉱・閃亜鉛鉱・磁鉄鉱等の基本鉱石セットを用意し各研修者が常時これらを観察できるようにしました。このことで基本鉱石と他のやや産出頻度の低い鉱石鉱物との直接比較ができるようになり、両者の違いがより理解しやすくなったと思います。
 鉱物肉眼鑑定では標本をハンマーで割り、新鮮な面を出して、へき開面を認識・観察することが極めて重要なのですが、借用標本を利用しているため、今回も標本を割る実習を行っていません。次回からは割っても良い標本を準備し、新鮮な面で見ることの重要さ及びへき開面観察の重要さをより実感できるような実習を取り入れることを検討しています。

第4回 鉱物肉眼鑑定研修
第4回 鉱物肉眼鑑定研修
第4回 鉱物肉眼鑑定研修
第4回 鉱物肉眼鑑定研修

第4回 鉱物肉眼鑑定研修

タイトル 第4回 鉱物肉眼鑑定研修
日程 2023年10月25日(水)〜27日(金)
研修場所 産総研つくば第七事業所
研修内容 鉱山会社に勤務する技術者が、金属鉱山等で産出する鉱物を肉眼で鑑定できるよう、実際の鉱物を用いてその特徴を理解し、判別可能な能力を身につけることを目的とします。
定員 5名(研修生は鉱業系の会社 ( 商社含む )・組織の方に限っております)。
※申込み締切:10月2日(ただし定員に達し次第受付終了となります) 受付終了
講師 坂野靖行 主任研究員
集合 産総研 10/25 9時30分(予定)
解散 産総研 10/27 16時(予定)
CPD 24単位
参加要件(会費) 産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」に36口(1口1000円)の会費が必要です。
注意事項 現地(産総研)までの交通費と宿泊代・食事代は参加者負担となります。
産総研の宿泊施設(素泊まり;利用料金は予約確定後通知)の利用が可能です。
詳細は参加者に個別にご連絡します。

※研修直前に体調不良となった方で、感染症などへの感染の疑いがある場合には、参加をご遠慮いただくこともあります。
申し込み・問い合わせ training-gsj-ml(a)aist.go.jp ※(a) 部分を @ に置き換えて下さい。
主催 産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」 運営会則