第3回 鉱物肉眼鑑定研修終了報告
第3回鉱物肉眼鑑定研修を2022年12月19日~12月21日に実施しました。産総研の坂野靖行が講師を務めました。本研修は鉱山会社等に勤務する技術者を対象としたもので、地質標本館登録鉱物標本約90点を用いて、天然に比較的普通に産出する鉱物の肉眼的特徴を理解することを主目的としました。鉱物肉眼鑑定ではルーペによる標本の観察が主体となります。本研修では、目的とする鉱物の特徴がよく分かる標本を事前に準備し、それらを観察してもらい、その場で講師が研修生の疑問点に答える方法をとりました。この方法だと多くの研修生を受け入れることはできないため少人数(5名)での実施となりました。
初日は1)鉱物肉眼鑑定の難しさ(生物種の鑑定との違い)、2)水晶を用いた結晶の形・結晶面の特徴、3)鉱物肉眼鑑定における観察ポイント(硬度、へき開、光沢等)に関する講義を行いました。引き続き天然に極普通に産する金属鉱物(黄鉄鉱・黄銅鉱等6種)を観察してもらいました。鉱物種ごとに、講師が対象とする鉱物の肉眼的特徴及び鑑定ポイントを解説し、その後研修者がルーペを用いて標本の観察を行いました。そして観察を行いながら鑑定の決め手となる特徴を理解してもらいました。今回はなるべく密になるのを避けるため3つの机に分かれて観察を行ってもらいました。
2日目及び3日目は初日と同様なやり方で、天然に極普通に産する鉱物(長石・方解石等7種)、鉱石鉱物(磁硫鉄鉱・硫砒鉄鉱・鉄重石・濃紅銀鉱等17種)を観察してもらいました。
ルーペを用いる研修の欠点は講師と研修生が観察部分を同時に共有できないことです。そこで第2回の研修に続き、今回も必要に応じて実体顕微鏡下での観察像を比較的大型のモニターに表示させ、全員が同じ画像を見る方法を導入しました。これにより、言葉(文字)での説明と実際の観察画像との対応が理解しやすくなったと思います。3日目の午後にはラベルのついていない試料の観察を行い、実体顕微鏡下での観察像をモニターで見ながら鉱物種の推定を行いました。
鉱物肉眼鑑定では標本をハンマーで割り、新鮮な面を出して、へき開面を認識・観察することが極めて重要なのですが、借用標本を利用しているため、今回も標本を割る実習を行っていません。今後は割っても良い標本を準備して標本を割る実習を加えることも検討していきたいと考えています。
第3回 鉱物肉眼鑑定研修
タイトル | 第3回 鉱物肉眼鑑定研修 |
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日程 | 2022年12月19日(月)〜21日(水) |
研修場所 | 産総研つくば第七事業所 |
研修内容 | 鉱山会社に勤務する技術者が、金属鉱山等で産出する鉱物を肉眼で鑑定できるよう、実際の鉱物を用いてその特徴を理解し、判別可能な能力を身につけることを目的とします。 |
定員 | 5名(研修生は鉱山系の会社・組織の方に限っております)。 |
講師 | 坂野靖行 主任研究員 |
CPD | 24単位 |
参加費 | 産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」に36口(1口1000円)の会費が必要です。 |
申し込み・問い合わせ | training-gsj-ml(a)aist.go.jp ※(a) 部分を @ に置き換えて下さい。 |
主催 | 産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」 運営会則 |